2010.04.02 Fri
本書は、「子どもと家をめぐる政争と性争」をテーマとしている。母と子の関係は、ある意味で「自然的」である。しかし、父と子の関係は、間違いなく「社会的」関係である。わが国では、奈良時代までは、生活の核となるのは、「母子+夫」であったとされている。では、「父母+子」が形成されるのは何時からであろうか。つまり、父は何時から家族の中心となるのか。平安時代初期の菅原道真は、幼い子どもと共に大宰府に配流になり、子どもも本人も餓死するが、生活の中から父親の子への眼差しや「愛」が育まれる。また、漢詩には、文人貴族としての家業を確立した自負心がちりばめられている。まさに、「家」成立と父親としての権力の創設である。
百年後の藤原道長が、今日まで続く摂関家を確立し権力を掌握できたのは、二人の妻が、交互に多くの男女を産んでくれたおかげである。まさに「性争」によって「政争」に勝利できたのであったが、子どもの成育儀礼や養育にも深く関わっていた。父子関係構築過程の具体的姿を、史料を提示しつつ考えてみた。(服藤早苗)
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