2010.10.25 Mon
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.この記事を読んで下さっている皆さんは、「母性」という言葉にどのようなイメージを持っているだろうか。私はフェミニストとして、「母性」という言葉に対してどのような立ち位置でいるべきなのか、いつも困惑し葛藤し続けている。これまでのフェミニズムも「母性」と格闘し、様々な議論を巻き起こしてきた歴史がある。その一部を収録したのが、本書である。
「母性」をめぐる議論は多岐にわたるが、その多くが女性固有の生殖機能に多かれ少なかれ関連している。たとえば、「出産」を例にとってみよう。本書の宮坂論文や舩橋論文、そして西川論文は、人間の出産が単なる生物学的営みなのではなく、社会、文化的に大きく規定されているものであることを明らかにしている。生物として「自然」で「普遍的」な出来事であるかのようにみえる出産が、社会や文化によって大きく様変わりしていく様子を目の当たりにするのは、非常にスリリングな経験である。
「母性」をめぐって、フェミニズムの挑戦は終わることはないだろう。「母性」にかかわる社会的な諸条件や環境は日夜、目まぐるしく変化し、新しい「問題」を次々とうみだしている。これらに、これまでと変わらない真摯な姿勢で向き合い続けることが、フェミニズムに課された課題であると、本書を読んで強く感じた。
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