2010.12.22 Wed
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください. インド出身で、いまは米国の大学でフェミニズム理論や政治哲学を教える著者は、初対面の人によくこう言われるそうです。「ダウリー(持参金)が少ないために、毎年たくさんのインド人女性が焼き殺されているんですってね」。こんな経験をなんどもして、第三世界の女性は野蛮な文化のせいで暴力にさらされているという理解が先進国に浸透しているのではないか、と著者は考えます。
ダウリー殺人はドメスティック・バイオレンスが続いたあげく起こるのですと彼女が説明すると、たいていの米国人はぎょっとします。遠い国の「野蛮な」事件と、DVという身近な出来事を結びつけて考えていなかったからです。著者は、米国でDVの末に殺された女性の数と、インドでダウリーが原因で殺された女性の数の人口比を比べ、ほぼ同じであることを証明してみせます。
先進諸国は第三世界の現象をわかりやすくするために、文化や伝統を便利な言い訳に使っている、と著者は言います。インドには存在しないカレー粉が英国でインドの表象とされたように、第三世界という他者も西洋で「発明」されたのだと。
このように著者は、さまざまな事例や自らの体験など、具体的な話を挙げて私たちの問題をするどく指摘します。そして、意見や立場の違いをふまえながら、批判を恐れずにもっと対話し、ともに反動勢力に対抗していこうと呼びかけるのです。この本を手に取るみなさんは、他者を理解しているつもりになって真の対話を避けていた自分自身を発見するのではないでしょうか。(編集者 奥田のぞみ)
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