井上輝子さんとのこと  

大阪の伊田広行です。井上先生とは女性学会などで交流がありましたので、亡くなられたと聞いて驚き悲しみ自分の人生の時間軸で感じ入るところがあり、一言書かせていただきます。
拙著『はじめて学ぶジェンダー論』では「ジェンダー論を学ぶとき、もっとも最初に全体像をつかむためにみておくといい本」として『新・女性学への招待』を紹介し、講義でも言及させていただきました。その後も折に触れ、原点だなあと参照させていただいた本です。
その後女性学会の幹事会では長らくお付き合いさせていただきました。二人だけで歩きながら話したりするときも、どんなときも年長者であるような感じがなく対等に率直にお話をしてくださいました。私のいろいろな思いも否定せずに聞いてくださった覚えがあります。会議でも皆の意見を尊重される姿を思い出しています。ジェンダー概念について私がまとめた4つの整理についても尊重してくださり、引用していただきました。90年代後半から激しくなった性教育バッシング、ジェンダーフリーバッシングの中でも、2000年代に女性学会でともに戦いました。ジェンダー研究者の中でも攻撃の嵐が厳しくなる中で口をつぐんだり、ジェンダーフリー概念を後ろから批判するような人がいる中で、女性学会として2005年には「『女性学/ジェンダー学』及び『ジェンダー』概念バッシングに関する日本女性学会の声明」をともに作ったりしました。同じ緑内障患者ということでの病気話なども色々話しました。拙著が出たら丁寧にお葉書やメールをくださいました。歳をとっても様々なところで活躍され、様々な人と交流され続けるお姿を見て尊敬しておりました。偉そうさが全くなく、権威に沿って思考するのではなく、いつも一から自分の頭でまじめに考え語られる人だなあという印象を持っています。藤枝さんとともに、最も早くから女性学に取り組まれた先輩であり仲間として私の中で輝いておられるのが井上さんでしたので、僭越ながらひとこと思い出を書かせていただきました。井上先生の思いを受け継いで、今私にできることをして残りの人生を全うしたいと考えています。

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井上輝子さん追悼 WAN掲載記事 https://wan.or.jp/article/show/9659
みなさまからの追悼のお言葉は以下にも掲載されています。
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