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生きる勇気と知性とユーモア  『がんのお姫様』海老原暁子

2013.10.09 Wed

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください. WAN人気連載エッセイ『フェミニストの明るい闘病記』がこんな素敵な本になりました!

 今年の大河ドラマで「ハンサム・ウーマン」という言葉が出てきますが、著者海老原さんが宣言するのは「がんのお姫様」、略してガンプリ。お姫様といえば、きれいなドレスを着て、ちやほやされて羨ましがられ、王子様に愛されて、、、というイメージを思い浮かべるけれど(だから批判もされてきたんですよね)、海老原お姫様は、そんなヤワなお姫様ではない!「すっくと立って自分に降り掛かる困難に勇敢に立ち向か」い、周囲の人たちを愛し信頼し助け合い、弱者に寄り添う生き方を貫く。そうですよね、考えてみれば、民を助け信頼され勇気凛凛でカッコいいのがお姫様のはず、「お姫様」の新たな意味づけにまず「いいね!」です。

 お姫様は、何と言っても義侠心に溢れています。苦しい臨床試験も、自身の治療のためというだけでなく、試験を通じて新しい治療法が確立されれば後の女性たちに役に立つから。新米看護師のおかげで泣くほど痛い採血をされても、新人を育てなければならないのだからとぐっと我慢、「採血室で担当者を怒鳴りつけているのがたいていオヤジであることを知っている私としては、女がすたるようなふるまいをしたくない」(132)。本を読みながら思わず拍手、です!

 エッセイ連載時から、卵巣がんとの大変な闘病のなかで、冷静に事態と自己を分析する知性に感銘を受けていたけれど、加筆されこうしてまとまったものを読むと、さらにユーモアと温かさがたっぷり付け加わって、ページをめくる手が止まりません。身体的にも精神的にも、生半可な想像が及ばないであろう苦しさや辛さを経ておられるからこそ、この本が生まれたのだと思います。

 本書は闘病記ではありますが、結婚し子供を産んで優雅な専業主婦人生を送っていた一人の女性が「社会で使える自分を発見」し、フェミニズムにめざめ子どもを置いての留学を決意、回り道をし葛藤を抱えながらも人生を切り拓いていく、、、現代を生きる一女性のライフストーリーとしても惹きつけられます。

 海老原さん、これからも私たちにメッセージを発し続けてくださいね!WANでの新連載も待ってます!! (牟田和恵)

海老原暁子『なぜ男は笙野頼子を畏れるのか』イチオシ書評はこちらから

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カテゴリー:わたしのイチオシ

タグ:身体・健康 / / がん、闘病、海老原暁子、牟田和恵

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