2012.01.02 Mon
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください. 本書は、西川祐子さん、上野千鶴子さん、荻野美穂さんという、WANメンバーのみなさまはよくご存じの3人が、個人史を振り返りつつ、時代、仕事、性、そして迫りくる老いについて率直に語り合った一冊です。
女性の大学進学率がまだ低かった時代に進学し、大学という制度に居心地の悪さを覚えつつも研究者として独自の仕事を紡いできた西川さん。
学園闘争の時代に学生時代を過ごし、男友だちとばかりつき合っていた上野さんが、フェミニズムと出会って「女遊び」を覚え、フェミニズム運動のフロントランナーとして走り続けてきた道のり。
主婦だった荻野さんが結婚生活に悩んでいる時にフェミニズムに出会い、手探りしながら研究者の道にすすんでいったこと。それは運命だったのだ、としか言えないような出会いの積み重ねでした。それぞれの人生が説得的に語られます。
手作りで女性史・女性学を立ち上げていった当時の熱気。運動の中で知り合ったさまざまな人たち。そして、女性学が学知として認知されていく反面、運動から分離していくことへの迷い・・・。
学生運動や「慰安婦」問題などの社会的事件から、異性愛者としての立ち位置・振る舞い方やファッションまで、親しき中にも緊張感あり、幅広い話題がノンストップで続きます。
「私たちが今回喋ったことは、私たちが何を次の世代に残したいかということではなく、私たちが前の世代から何を受け取ったかという話ね」(上野)。
そう、フェミニズムの継承はきっと、自らの歩みを語ることからしか始まらないのだ、と思います。
(岩波書店編集部 大橋久美)
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