
『離れていても家族』は、イギリスの家族と比べてみたら日本の家族はこんな風にみえてきたと、いう意味でつけたタイトルだ。家族からジェンダーを考えることと、ジェンダーから家族を考えることの間には小さくない違いがある。本書では、生活時間や子どものいる女性へのインタビュー調査データを共有しつつ、異なる場でそれぞれ考えてきた共編著者の4人が、対話を重ねてこんな家族像にたどり着いた。
夫婦別姓への頑なな抵抗だったり、男性の仕事が聖域になっていたり、家事・育児が蔑まれたり。そんな現代社会のあらゆるジェンダー領域の問題と、この日本家族像がどんなふうにつながるのか、本書では謎解きを試みた。でも、私たちの解釈にこだわる必要はない。本書では、現代イギリスと日本女性の家族生活におけるリアルを随所で読者に直接拾ってもらえるはずだ。
執筆を終えて最後に4人で行った座談会では地域や世代、そして個人の多彩な家族観が露わになった。もしかすると、ここにもバラバラなままで共に歩んでいく道程-どうアクションしていくのか-に向けたヒントが埋め込まれているかもしれない。家族をつくりたい人にもつくりたくないひとにも、未来社会を構想するために読んでもらいたい本。
◆書誌データ
書名 :離れていても家族
著者 :品田 知美 , 水無田 気流 , 野田 潤 , 高橋 幸
頁数 :312頁
刊行日:2023/8/4
出版社:亜紀書房
定価 :2200円(税込)
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