女の本屋

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日本弁護士連合会編『災害復興--女性こそ主役に!』

2012.05.02 Wed

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください. 「なぜ女性だけ支援するのか意味がわからない。男性だって大変なのに。」

この本を出版する前に、「主張したいことが全くわからない」と少なくない人に言われた。だからこそ、是が非でも出版しようと思った。この意見が多勢を占めているようではこの国は変わらない。

なぜ「災害時の女性支援」が必要なのだろうか。震災後に避難所、仮設住宅、原発周辺地域で生きる被災女性の実像について、仔細な取材を重ねた竹信論稿がこの問題を正面から捉えている。

また、いわき市に暮らす弁護士菅波氏による発言(第2部・シンポジウムの記録)からは、福島で暮らす母子をめぐる状況を聞いて、愕然とせずにはいられない。

本書は、被災地に暮らす女性の実態を克明に伝えているほか、原発周辺地域と社会的脆弱性、日本経済の在り方について鋭い指摘を行い(大沢論稿)、国際的見地からの日本の防災・災害復興政策へのジェンダー視点の導入の遅れ、国連1325決議が自然災害・人的災害によって破壊された社会を復興するに際しても非常に参考となる旨指摘する(林論稿)。

また、大災害の中では「ジェンダーというよりは『人間の生存』という視点」が重要となり、東日本大震災はジェンダーを変えるのか、という根源的な問いかけがなされている(小島論稿)。  東日本大震災後にその実情を露呈したと言っても過言ではない日本の姿について、本書は「憂い」、また、復興に向かっての施策、計画に「男女共同参画」の視点を盛り込むよう力強く訴えている。 (編集者  渡邊宏美)








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タグ: / ジェンダー / 東日本大震災 / 女性支援