
自責感とうまくつきあうために
「信田さんは、書いたものより語りのほうがずっとおもしろい」
信田さんは、たびたびそう言われるそうです。わたしも、書いたものには書いたもののよさがあると思いつつ(おなじ新書でいえば、『家族と国家は共謀する』の迫力といったら)、話し言葉のかたちで1冊にまとめたいと思ってました。
この本では、その語りが存分に味わえます。もとになった「信田さよ子講座」が90分ですから、5回ぶんで、しめて450分ぶんになります。加筆修正がなされているので、さらにバージョンアップしています。
テーマは、母と娘、共依存、子育てと多岐にわたりますが、本丸は「自責感」です。自分で自分を責めることがいかに残酷か、当事者の言葉を辞書としながら、そのメカニズムに迫っていきます。
この本の考え方を端的にあらわす箇所を、「あとがき」から引いておきます。
「自分だけを見て、自分で自分を操作するという水路は、不可能の水路、地獄の水路だ。そんなこと、できないに決まっている。グルグルめぐって、できない自分を責めることに帰結するしかない。
……カウンセラーとして私が試みているのは、べつの水路への方向づけである。」
「必要なのは、他者である。自分を助けようとする他者だけではない。自分に似た経験をした他者、類似した他者の存在こそ必要なのではないか。」
ぜひ本屋さんで、ご覧になってみてください。
◆書誌データ
書名 :なぜ人は自分を責めてしまうのか
著者 :信田さよ子
頁数 :224頁
刊行日:2025/03/10
出版社:筑摩書房
定価 :968円(税込)
