
NO.1:ヴァージニア州民になる
No.2: わが村の雪の日々(アシュビィ・ポンズ#1)
No.3 村での暮らし―4か月目
私がドアに鍵をかけていたら「逃げ出すつもり!」と隣人が叫びました。彼女が私の買い物カートをみたから、「そんなんじゃないわよ、単に買い物」と私。二人とも例のわかっているよという苦笑です。
逃げ出す。エレベーターや駐車場で、この言葉にちょっとした本音があることをわかりながら笑いあいます。私たちは幸いなことに動けるし運転もでき、望めば退去もできます。
私がうまく外界に行ける自分なりの方法を見つけ出せているのは進歩です。ウエグマン・マーケット、トレイダージョー・マーケット、薬局、オンライン店ターゲットに簡単に行けます。車でいく半月に一度のマッサージ予約を取り、美容院、歯科医院、眼科医院に最速の地下鉄駅も見つけました。これらは3~6マイル(1.8~3.6キロ)内にあり、GPSも地図から取った手書きの方向も必要なく行けます。進歩―これらの外出は見ないでもできるし、道に迷う心配も気持ちを集中させる必要もありません。ここ以外のより大きな世界を行き来できる自信は心地よいものですね。
アッシュビィポンズでの自己充足感は、小さな大学のキャンパスにいるような感じです。すべてが提供されます―居住区内のホール、食堂での食事、教育的な社会的な活動、かつエクササイズ、日々の活動のスケジュール、に加えて外部のゲストスピーカーの講演、劇場での映画上映、コンサートやダンスです。またワシントンDCや近くにある文化的イベント、その場所、レストランにバスで出かけることもあります。「新入生15ポンド(7キロ)」(新入生は、最初の1年で15ポンド体重が増えること)の代わりに、毎回の豊富な食事につくデザートは「アッシュビィポンズ」体重増加に寄与すること(私を含めて!)でしょう。
大きな違いは、学生には輝かしさや先立つキャリアがあるということでしょう。ここでは
それらは過去になり、我々の残りの暮らしをいかに営むかが問題です。これを思い出させるのは、ほとんど毎日入居棟に横ずけされる救急車の到着とチカチカ光るライトを持つ消防車です。
ここには、一人ひとり老人が居るのみ、以前の個人的なまたは専門家生活という装飾から離れている。多くの人のアイデンティティははぎ取られているものの、幾人かは気にしません。少数の人は、ドクターとか専門家とか呼ばれていますが、私のビルにいる一人の粗野な男性は、以前から「キャプテン」というバッジをつけていて、こう呼ぶことを強要します。
彼らのアイデンティティを示す一つのやり方は、ドアに何かを飾っておくとか、アパートの外に棚をつけるとかですね。私は近隣棟2と3をつなぐ間を1日5,000歩くことにしています。カラフルなクリスマスとかハヌーカ祭の飾りつけがありましたが、今はヴァレンタイ。ハーシーのキスとかペパーミントキャンディーのサンプルが入った箱とか、です。
自分たちや家族の写真、彼らが住んでいたところの貝殻の展示、小さな車や飛行機のモデルといった趣味の展示もあります。ある女性は毎週新しい生け花を出していますね。

私の棚にはこれまで集めた白いテリア犬のミニチュアや私のタッペンスとギャビーの写真を、下の白の小枝にハート型の花壇の周りに加えました。(写真参照)今やよく聞かれます。「あなたがテリア犬の人ですか?」新しい人達は、立ち止まってお喋りをします。たいていは彼らの犬ですが。ま、初めだから。
ここに引っ越して持った一つ目標は、ブリッジ・ゲームの力量を高めることと一緒にゲームをする人々を探すことです。「実力中位程度のブリッジクラス」の4人は、「ブルーリッジクラブハウス」付近でゲームを始めることにしました。(私たちは、それぞれ試みましたが、毎日の日中と夜のゲームは、仲間がいなくてだめでした)。
先週、私たちは火曜日午後、ブリッジエリアの小さな卓に集まりました。というのも別人の予約時間の前に終わらなければならなかったからです。責任者の女性と男性は、彼らのテーブルをセットするために早めに来て、私たちの側で大声でしゃべり始めました。私はやさしく、大声のためにゲームに集中できないといいました。男性は私のほうに向いて「お若いの。今は自分たちの時間だよ。ここに居る権利もあれば何でもできる。でもあんたたちはできないよ!」とがみがみいいました。
私たちは、その手の回が終わってできるだけ早く別の部屋に移動するといい、そうしました。責任者の女性は私たちに近づいて謝りました。4人の一人が、「彼はあなたを見下しているのよ」といいました。他の人々は小さなことだと思っているのか、その場を支配するようすになんのコメントもなかったのです。
「12月進歩党」集会は、議長が2025年のプログラムについてなにか意見があるかと聞きました。誰もなにいわないので、私は挙手をし、最近のトピックスについてスピーカーを招いて定期的な集まりがあるといい、と助言しました。隣にいる男性がマイクを取り、立ち上がって」私の方を向いて、力をこめて「ダメだ」と言いました。
プールのエアロビスクで、私の前にいる男性が、たまたま私の場所のほうに進んできます。私はからかい半分に「このまま後ろ向きに浮かんで来れば、あなたは私の膝に乗ることになるわよ」と。
「じゃあ、もっと後ろに下がれよ」と不平そうにいいます。
「できないわよ。私はすでにプールの端にいるのだから」
「別のほうに行けよ」といい張ります。
「あっちは深いほうよ」私は彼をよけて別のレールの方に行きました。
夫、アーヴィングは優しい声と態度の人でした。意地の悪いやりかたで、話されることに慣れていません。
ボブはまだ新入りの時、テリトリーに関して似たような体験をしたそうです。彼はアクロン・デリでのランチ、ずっと端っこの長いテーブルの端に座っていました。
「あぁ、編み物グループの日だったのでしょう」私は尋ねました。
その日でした。彼は動くようにいわれたそうです。でも彼は「若者調子」の声でなくいったそうです。
アシュビィポンズの伝統、習慣、やりかたは、新しい入居者によってゆっくりと変わっていくでしょう。
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11月中旬、マギーと夫のジムに「メィドウラーク冬季ライツ」野外旅行で会いました。我々は新入居者―2人はノースカロライナ州から来てまだ4週間、私はケンタッキィ州から来て2週間でした。マギーは彼らのラブラドール犬の話をしたので、私はいかに犬が適応しているか尋ねました。マギーは笑いながら「サマーズはうまくやっていたの。トラブルを抱えていたのは私というわけ」。以来新入居者のサポートグループが必要だと話し合いました。
数週間前、幾つかのうまくいかないイベントが続いた後、私はつぶれてしまいました。例のサポートグループの出番です。
入居者生活部のチーフは、チラシを作るよう私にいい、具体的な支援事業をやる彼女のスタッフを紹介するといいます。私は「新入居者のためのサポートグループを作りましょう―寂しくありませんか?孤立してどこに所属しているのかと考え込んでいませんか?」と書いた素敵なチラシを準備しました。スタッフは主要なカレンダーに日時と部屋番号を書き入れ、そしてすべてのビルの郵便箱にチラシを入れてくれました。
先週の火曜日の午後、マギーと私は2名の女性を待っていました。一人は85歳、倒れて腰を打ちウオーカーの人、もう一人は89歳で、物事を覚えているとか説明するのが困難になっているという杖をついている女性。両者とも、最近ここに家族によって「入れられた」といいます。子どもたちは、ここを選び、すべてを管理して、自分たちはすべて整ったアパートに引っ越したと。1人は自分の周辺を好んでいますが、もう1人は違います。2人とも、話し合いグループとは違ったレベルのサポートが必要のようでした。帰り際に両者ともマギーと私にお礼を言い、私は2人が迷わないようにビルまで付き添いました。
マギーとジムは引き続いた複雑さのために、別の体験をしたそうです。彼らは、活動的な年齢の仲間のいる一番新しいビルに入っており、自分たちカップルが別のカップルと仲良くできるようになっていると。2人はニューヨーク市に月1回1週間ぐらいここを離れるか、あるいはノースカロライナかニューヨーク市に息抜きに出かけるそうです。マギーがいうには、彼らがニューヨーク市から帰ったらどのような美術館とか演劇を見たのかを尋ねるのは私だけだといいます。
私たちは、他の州から来たアッシュビィポンズ住人の1~5%なのだと彼女はいいます。私たちは、この退職コニュニティ環境に挑戦しなければならず、また一方で完全に新しい地理的エリアに適応し、それを導くサーヴィス提供者の新しいネットワークにつながらなくてはなりません。
「私たちは幸運だと思う。でもここに移ったことは大きなミスかもしれないわね」とマギーはいいます。私ができる唯一ことは、「でもここからどこに行ける?」と自問することでした。
私たちは2人だけのサポートグループです。私は自分自身の移動のヘルプのために何かした者のように感じました。
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先週の火曜日、ベティとボブがやってきて、特別公共TV「シシリー島のリック・スティテーヴ」をみました。私たちはそれらを説明するソムリエの気分でシシリー製赤白ワインをすすりながら、チーズとか果物をかじりました。
落ち着いてきています、日々、少しずつ。
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No. 4に続く・・・
原文:LIFE IN THE VILLAGE No.3 --Month Four: Settling Little by Little ◆Jules Marquart
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翻訳:河野 貴代美
特別寄稿エッセイ「死別シングル女性の冒険:退職者用統合的なケアシステムを持つコミュニティへの引っ越しの記」 ~No.1: ヴァージニア州民になる ◆ ジュルス・マークアート (翻訳:河野 貴代美)
特別寄稿エッセイ「死別シングル女性の冒険:退職者用統合的なケアシステムを持つコミュニティへの引っ越しの記」~No.2 わが村の雪の日々(アシュビィ・ポンズ#1) ◆ ジュルス・マークアート (翻訳:河野 貴代美)
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