
リブ運動から50年-
あの時、声を上げた女性たちの勇気が、今の私たちにつながっています。何を受け継ぎ、今、何を問い直すべきか・・・
この問いをもとに、これまでのフェミニズムの歴史と現在を振り返ることを目的としたドキュメンタリー映画『何を怖れる~フェミニズムを生きた女たち~』のオンライン上映&アフタートーク会を、WANフェミニズム入門塾の第2、3期生とアドバンスコース第2期生の有志からなる実行委員会が企画し、去る8月に開催しました。
14人の女性の葛藤と歩みを記録した『何を怖れる』をオンラインで事前上映し、その視聴者とともに、松井久子監督と上野千鶴子さんによるトークを通じて、フェミニズムの歴史と現在を振り返るという企画です。
1970年代初頭に始まったフェミニズム運動から半世紀以上が経ち、男女雇用機会均等法の制定をはじめ社会は大きく変化したように見えます。しかし、その背景には「フェミニスト」と名乗り、不理解や反発を受けながらも声を上げ続けた女性たちの存在がありました。
「あの頃」と「いま」で何が変わったのか、闘った女性たちのバトンはどのように引き継がれているのか。そして「女性の今とこれから」をどう描いていけるのか―映画を事前視聴した参加者からの質問をもとに繰り広げられた松井監督と上野さんのトークによって、その問いを共有し考える場となりました。
アフタートーク会には95名が参加し、終了後のアンケート結果からも、映画とトークを通して多くの気づきや思いを抱いたことが伝わってきました。また、実行委員会メンバーも、企画を通じてさまざまな思いを抱きました。
その舞台裏と感想をご紹介します。
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■実行委員会の紹介と舞台裏■
・実行委員会最終メンバー:7名(WAN入門塾2期生、3期生、アドバンスコース2期生)
・実行委員の年代:40代以下2名、50代4名、60代1名
・実行委員の普段の仕事・活動:アルバイト、ボランティア、医師、国際協力、講師、学生など
・開催した会議:13回
実行委員会の会議では、上映・アフタートークの趣旨、形式、Peatixの設定、参加費、定員など、ほぼ一(いち)から話し合いをして決めていきました。
会議はZoomで、その後足りない部分などは、Slack上でやり取りをしました。会議の初回、二回目はぶつかる、ぶつかる・・・(笑) 互いに探り合う空気の中、「(入門塾塾長の)上野さんは、どうお考えなのか」、「上野さんは、何を望まれているのか」というコメントが出たり、一方では、「上野さんではなく、自分たちがどうしたいかを考えるべきなのではないか」といったような、「タラレバ」の話もあり、次第にヒートアップして「最後まで話を聴いてください!」といった声もでるほどでした。
初回、二回目の会議後、上野さんにご報告し、WANとしてという部分も考えつつ、次第に「上野さんが・・・」ではなく、自分たちの企画として向き合うようになってきました。会議を重ねていくうちに、メンバーが自身の仕事のことなどの話もするようになり、それぞれの得意なことも見えてきて、それぞれの得意なことを活かした動きになってきました。
基本的に連絡はSlack上で取り合っていましたが、何かが起きたときの対応はすごく、一人に任せきりにすることなく、みんなでアイデアを出し合い、ベストな方法をみんなで選択していきました。役割分担も「できる人が、できるときに、できることを」を基本として決めながら、担当者に全責任を負わせることなく、互いにフォローしながら進めていきました。
実行委員会メンバーに、この企画の開始前と終了後の気持ちを聞いてみると…
◆メンバーAさん◆
開始前:この、同時代者からフェミニズム初心者までにとって、何度見ても発見のあるこの映画を、まだ見ていない人は絶対見るべき、機会が目の前にあるなら実現しなければ‼︎
終了後:事前質問を集めておいて良かった!たくさんのお話や聞きたかったお言葉が聞けて嬉しかった、得した気持ちです。
◆メンバーBさん◆
開始前:今回はなんとか実現したい!(昨年は、話があがったにもかかわらず実現できなかったので)
終了後:参加者の方々が満足してくれてうれしかったのはもちろん、アフター・アフタートーク会で松井久子監督から、このイベントをどれほど楽しみにしていたのかおうかがいすることができ(そこまで楽しみにしていたのか!と、ほんとうれしかった)、さらに満足感にあふれた表情を拝見して、本当にやってよかったなと思いました。
そして、準備から開催まで、スタッフのみなさんと一緒に続けてこられてよかったなと。これまでに開催した会合の回数・日程を振り返りながら、そして、一人ひとりが意見を出し合い、それぞれが役割を担い、一日一日の作業の積み重ねでここまで来たのだと振り返りながら、イベントをつくりあげる楽しさをあらためて感じさせられました。
◆メンバーCさん◆
開始前:ワクワク=製作者である松井監督と出演者である上野さんのお話をリアルで伺えるなんて、極めて貴重なことと思い、手を挙げました。特に若い方々に伝えたい、残したいという気持ちが強くありました。
終了後:達成感と感謝=お二人のやりとりでどんな化学反応が生まれるか、楽しみにしながら準備を進めました。想いを同じくする方々との協働作業は、まさにシスターフッドをリアルに経験することとなり、仲間の存在に感謝しています。また、アフタートーク会のアンケートを見ると、実際に行動に移そうと決意表明の言葉も多く、単なる映画鑑賞に終わらずよかったと心から思いました。
◆メンバーDさん◆
開始前:自分とは全く異なる分野に身を置いておられる方で、でもフェミニズムへの熱い想いを有している方々と仲間になりたい、時間を共有してみたい、一緒に活動をしてみたい、と思っていました。ドキュメンタリー映画の製作にも強い関心がありました。
終了後:人間関係がはじまる時の常ですが、衝撃、迷い、反省なども経つつ、各自得意分野を生かしながら、補いながらイベント準備を進めていきました。他の実行委員の方々から刺激と情報をいただき、今後の自分の活動のヒントを掴んだ気がしています。
◆メンバーEさん◆
開始前:自分の団体のイベントもあるため、果たして最後までやり切れるのか、不安がいつもイベントを立ち上げる時より大きかった。自分に何ができるだろうか?と考えた。
終了後:何とか、やり終えてほっとした。
気持ちはいつも前向きなばかりではなく、途中、大変さも感じた分、達成感は半端なかった。
*参加者のアンケートより*
① 満足度について-回答者のほぼ全員がとても満足、満足だった。松井監督と上野さんのトークに触発された方もいらっしゃいました。
② 「本日、アフタートーク会に参加されて、ご自身で何を変えたい、変えようと思われましたか?」という問いに対して、アンケートにご回答くださった35名それぞれが変えようと思ったことを書かれていました。
③ 登壇者へは、「もっと話を聞きたかった」という声が多く、中には、松井監督と上野さんの関係を羨ましく思うコメントもありました。
また実行委員メンバーへの労いのコメントもいただき、メンバー一同、嬉しく思いました。
*まとめ*
先日の振り返りMTGでは、メンバーは既に来年度へ気持ちが向いていました。
企画が始まったところからがワークショップであり、今回、形のないところから創り上げていく醍醐味を味わうことができました。この機会をいただいたことに、心より感謝いたします。
末筆ではございますが、松井監督、上野さん、ご協力いただいた事務局の皆さまに、実行委員一同、心より御礼申し上げます。
記:安齋美幸
■実行委員会メンバーから■
この度、『何を怖れる-フェミニズムに生きた女たち』オンライン上映会およびトークイベントにて、司会を務めさせていただきました。
準備段階から当日まで、私にとって非常に貴重な経験となりました。
普段は一人で仕事をすることが多い私にとって、仲間と協働して一つのプロジェクトを作り上げていく過程は、学びと気づきに満ちておりました。有志募集の声に手を挙げたにもかかわらず、急に仕事が立て込んだため、準備の中では十分に動けない場面もありましたが、それぞれの立場から力を寄せ合い、支え合いながら進められたことに、大きな安心と信頼を感じました。
180名もの方々にお申し込みをいただき、多くの関心を集める中で迎えた当日。松井久子監督や上野千鶴子さんと短いながら交流の機会をいただきました。フェミニズム入門塾でのオンライン講義でお目にかかるのみのメンバー。準備の過程では互いの背景を深く知る機会が限られていたものの、当日を共に迎えることで、改めて「フェミニズム」というキーワードでつながる力の大きさを実感いたしました。
至らぬ点もあったかと思いますが、最後には確かな達成感とともに「一人では決して得られない学びと喜び」を共有できたことを心から嬉しく思っております。
今回の経験を通じて、他者とともに歩みを重ねることの価値、そして連帯の力を改めて感じました。
ご一緒してくださった皆さま、そして参加者の皆さまに心より感謝申し上げます。
記:伊藤一枝
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■『何を怖れる』オンライン上映+アフタートーク会 概要■
企画: 「あれから何が変わったか」~ドキュメンタリー映画『何を怖れる~フェミニズムを生きた女たち~』オンライン上映+アフタートーク会
主催:認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)・WANフェミニズム入門塾第3期生とアドバンスコース第2期生有志
*映画事前上映*
期間:2025年8月20日(水) ~ 8月26日(火)(Vimeo配信)
*アフタートーク会*
日時:2025年8月30日(土)19:00~20:30(Zoom開催)
登壇者:松井久子監督 × 上野千鶴子さん(認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長)
プログラム:
1. オープニング
2. 松井久子監督 × 上野千鶴子さん トークセッション
3. 質疑応答
4. クロージング
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