女性たちが自分の力で手に入れた住まい

茨木のり子、いわさきちひろ、水の江瀧子、桑沢洋子、宇野千代、林芙美子、吉屋信子、川上貞奴……大正から昭和にかけて活躍した19人の女性たちが建てた家と間取りを紹介。住まいをひもとくことで、彼女たちが理想とした暮らしが見えてきます。

彼女たちは家父長制にもとづいた男性は「表」、女性は「奥」というかつての間取りを脱却し、主体的な「個」としてのライフスタイルを実践することを目指しました。
たとえば詩人・茨木のり子は、広い敷地にあえて小さな家を建てました。必要最小限に機能的に暮らすことを重視したのでしょう。作家・吉屋信子は自分の家を持つことで、女性パートナーとの同居を実現します。和風住宅の常識に囚われなかったこの家は、後の近代的な数寄屋デザインに大きな影響を与えました。さらに学者・坂西志保は1960年代に都心を離れ、郊外の古民家をリノベーションして猫と独り暮らししました。当時の常識に縛られない、自立した生き方に憧れます。

本書は建築史研究では数少ない、「施主」に光を当てた1冊です。間取りやインテリアのイラストを見ながら、暮らしや人となりを想像しならが楽しんでいただけると幸いです。


◆書誌データ

書 名:女性が建てた家と間取り
著者名:田中厚子 松下希和
出版社:エクスナレッジ
頁 数:144頁
刊行日:2025年12月26日
定 価:1,980円(税込)

女性が建てた家と間取り

著者:田中厚子

エクスナレッジ( 2025/12/27 )