『日本で女性研究者が増えない理由:アカデミアに残るジェンダー問題』という本を編著者としてまとめました。

この十数年、当事者起点での研究と発信を続けてきました。

10年以上前、2014年に立命館大学大学院の上野千鶴子ゼミでまとめた修士論文を『「育休世代」のジレンマ』という本として出しました。自分が企業勤めしていてライフイベントを迎えた途端に二級労働者扱いされることに憤り、企業総合職の女性の育児と仕事の両立を調査したものです。その後、夫の転勤で帯同したシンガポールで、自分も子育てをしながら、シンガポール人の母親たちの担っている教育役割について、2025年に提出することになる博士論文の元となる調査をしました。

2022年度からは東京大学の男女共同参画室で働き始め、自身が任期付きの立場から、アカデミアに入って女性研究者が増えない問題を調査し、まとめたのが本書です。今は子どもが不登校になった経験をもとに、不登校の親研究をしています。いつも自分が置かれた環境に疑問を持ち始めて調査をしており、ある意味新参者であるからこそ見える視点も(もちろん見えていない視点も)あったのではと思っています。


第6章のもとになった調査は、第一期(2023年度)一般財団法人上野千鶴子基金の支援をいただき、女性限定公募について10大学で推進本部、公募を実施した部局の部局長、女性教員の3者への調査を実施したものです。女性限定公募については様々な議論があり、一般的なイメージで語られがちですが、調査対象として女性限定公募で採用された女性教員という当事者の声を拾っているものは還元の限り見受けられず、貴重な記録であると自負しています。多くの方にお手に取っていただけますと幸いです。


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はじめに(中野円佳)

第1章 日本の女性研究者の現状 (久保京子)
補論1 「パイプラインの水漏れ」現象はどう議論されてきたか(中野円佳)
第2章 六八人の人生から――研究の方法と対象者(中野円佳)
第3章 女性博士課程大学院生の研究室ネットワークにおける困難(久保京子)
第4章 なぜアカデミアを離れたのか(中野円佳)
第5章 ライフイベントの中の困難――どう回避し、乗り越えるか(九鬼成美)
第6章 女性限定公募は解決策になるか(中野円佳)
補論2 女性限定公募をめぐる賛否(中野円佳)
補論3 米国大学の女性研究者支援事業(木原友紀)
終章 大学は何をすべきか/してきたか(中野円佳)

おわりに(中野円佳)



◆書誌データ
書 名:『日本で女性研究者が増えない理由:アカデミアに残るジェンダー問題』
著 者:中野円佳(編著)
出版社:大月書店
刊行日:2026年5月28日
仕 様:304ページ
定 価: 3,740 円(税込)
ISBN :9784272350667

日本で女性研究者が増えない理由:アカデミアに残るジェンダー問題

著者:中野 円佳

大月書店( 2026/05/28 )