今回はご当地報告になりますが、我慢してお読みください。

 とてもうれしくて誰にでも聞いてほしいのです。私の住む東京杉並区は59万人の区民がいます。人口の少ないひとつの県よりも多いです。その区長に岸本聡子さんが再選されました。いや、再選されるなんて受け身の話ではなく、わたしたち区民のひとりひとりの応援が実を結んで再選できたと言いかえましょう。

 4年前のこのコラムで、187票の僅差で現職区長を破って当選した我が女性区長のことをご報告しました。その続編です。

 早いもので奇跡の当選から4年経ちました。当初、全国的にも注目を浴び好調なスタートでした。区民との対話を重視し、対話の中から生まれたアイディアや要求を実現するという基本方針の元に、ケアをする人をケアする、優しい杉並区にするために道路の要所要所にベンチを置く、猛暑の時ちょっと休めるクーリングスポットを設ける、東京都の最低賃金の時給が1226円のところ、区では1500円にする、ジェンダー平等を促進する、などなど、目にみえて住みやすくなってきた政策を実現してきました。

 そのため、再選は楽勝と初めは思われていたのですが、4年の間には巻き返しを狙う勢力も出て来ました。わたしがいちばんおそれたのは、この2月の衆院選挙の自民党の圧勝の余波が及ばないかということでした。自民党推薦の40代男性のO候補者、60代の元経営者M氏、そして前回の選挙で岸本さんに僅差で敗れたT前区長の3人がライバルでした。特におそれたのは自民党推薦候補者で、そのバックについたのは、この2月の衆院選挙の杉並の選挙区で立憲民主党のホープだった吉田はるみさんを蹴落として初当選した自民党のK女性議員でした。K氏は、現政権の軍拡路線や憲法軽視の政策に危機感を持ってその意思を表明するために国会の前に集まったデモの人たちのことを「ごっこ遊び」だと発言した、とんでもない国会議員です。杉並区がこんなお粗末な国会議員を選んでしまったのかと、区民のひとりとして恥ずかしい限りです。とにかくこんな議員がバックについて何をするかわからない、2月の衆院選挙のような訳の分からない大逆転が起こるやもしれぬ、それがいちばんの心配のたねでした。

 そのため、岸本さん支援グループは、みんな必死で応援に動きました。雨の中の街頭演説にかけつけ、ビラまき、街宣、電話かけ、商店街の練り歩き……私の知っているのはそのくらいですが、もっともっと知らない所で多くの人たちが活躍しました。 その短い運動期間の中でわたしが最も感動したのは、岸本さんの日大の大学時代の指導教授が応援にきておられたことです。「彼女は学生の頃から目立っていました。しっかりと環境社会学の方向を目指していました」とも言っておられました。区長になる前はオランダとベルギーの公共サービス、民主主義、社会運動、などを扱う国際研究機関で働き、そして今は、住民の公共サービスの実現として区長になり、その再選を目指しているーー大学時代の先生がわざわざ雨の中を応援に駆けつけてくる、それだけでこの候補者は信頼できるではありませんか。

 開票の結果、自民党の巻き返しは杞憂に終わりました。

岸本さん 106487票
自民推薦O氏 46250票
前区長T氏 33259票
元経営者M氏 15877票

 岸本さんひとりであとの3人合わせたより多いです。ひとりで52.74%を獲得しました。

 杉並区民は、自分で言うのもおこがましいですが、馬鹿ではなかった、「ごっこ遊び」などというとんでも議員がかつぐような候補者の2倍以上も岸本さんに投票した、2月の高市旋風が一過性のものであったことを証明してくれたのではないか、と、それがうれしいです。

 実は、わたしも万一、高市旋風の余波が来たら困る、もしも岸本さんが落ちたら困ると、わたしとして初めて家の門扉に岸本さんの大きなポスターを貼りました。「岸本さんにお願い、岸本さん、がんばってるからぜひ岸本さんに投票して」と、行きつけのクリーニン屋さん、美容院、お隣さん、会う人々に言いました。e-mailもしました。お願いの葉書も書きました。中心になって選挙運動をリードした人々のご苦労と奮闘はもちろんですが、わたしのような今まであまり動かなかった人も必死で応援したからこんなに大勝できたのでしょう。

 これから4年間本当に楽しみです。