7月10日、皇室典範改正論議が衆議院の議院運営委員会で行われ本会議で採決されたが、その場で行われた議論は、「男系男子によって2600年続く世界に誇るべき皇統譜」などという、一体いつの時代のどういった認識なのか、荒唐無稽な思い込みを前提とする与党議員の発言も交えながら、室町時代に遡る38等親離れた者の養子縁組なる答弁は、ファンタスティックを超えてグロテスクでさえあった。
この間、国連子どもの権利条約からは、嫡出子、非嫡出子という概念を法律用語から消すべきとの勧告が再三行われ、国内の女性運動の成果として、2013年に婚外子の相続差別が民法から削除されたのであるが、さて、今回の皇室典範議論において何度「嫡出」(ちゃくしゅつ)なる言葉が飛び交ったであろう。
質疑において、日本国憲法との関わりで質問がなされたのは最後の数分に過ぎず、それもNHK放映の時間切れで無惨に切断された。ちなみに質問に立った各党代表は全員男性であった。
日本国憲法の公布は、戦争の反省にのっとったものであることは、間違いない。
その戦争とは、中国,朝鮮半島をはじめアジア諸国に対し多大な被害を与える侵略戦争であった。ドイツ、イタリア、日本は、三国同盟を締結し全体主義的な国家統合により民衆を戦争に駆り立て侵略に加担させ、またその命も奪った。日本では天皇が大権を持ち、軍隊の統帥権を握る存在であった。それゆえ、敗戦時の天皇ヒロヒトは戦争責任を問われ続けたが、「元号」が2度改変され世代が交代されるのにともない、その責任追及の声は弱まっていった。
「天皇に人権はない」と軽々しく述べる保守派の論陣を看過すべきではない。戦前、神であった天皇は「人間宣言」を経て「象徴」となった経過を、その発言は無かったことと捨て置くに等しく、現行憲法を明らかに踏みにじっている。まがりなりにも歩んできたこの国の民主主義の道を閉ざすこととなり、未来は泥沼化する。
憲法第2条において世襲であることが明記され、血筋を根拠とする天皇の身分そのものが、9条以下の憲法の理念に背理することから、制度としての天皇制は矛盾に満ちたものである。そこを国民の総意に基づく象徴と言い換えて第1条に据えた経過は、繊細かつ慎重を旨としつつ保たれて来たと言える。しかし現状、皇室典範改正法案が参議院に回され、このまま成立などとなれば、それこそ理性を逸脱した「いつの日かの日本」が想起され、世界のある地域には恐怖を与え、また多数の地域からは嘲笑を受けるであろう。
何よりも、大日本帝国憲法下の女性差別を前提とした「家制度」が、象徴であるところの天皇家においてあらためて強固に一つの規範となることは、現実の日本社会に対して多大な悪影響を与え、一向に進まない女性差別撤廃がさらに後退するだろう。今や世界の潮流となりつつあるジェンダー平等政策を、あらゆる場面で速やかに実現するように一貫して国際機関から求められてきた日本が、さらに逆走しようとするこの法案は差別温存の上塗りでしかない。
私たちは、この国で民主主義的ルールが担保され、女性差別が撤廃された社会を目指すうえで、皇室典範改正案が参議院において否決され、廃案となることを強く望むものである。
2026年7月13日
女+フェスティバル実行委員会一同
2026.07.13 Mon
カテゴリー:マイアクション / 集会・イベントレポート
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