【受講レポート1】
長雨がつづく初秋に、WANフェミニズム塾アドバンスコース第3期が始まった。多様なバックグラウンドをもつ人びとが一堂に会し、自己紹介する。上野先生から、「研究とはなにか」のレクチャーを受けた。「問いを立てる」「1年で結果を出せるものを」「手に負えない問いは立てない」。博士課程に在籍する私にとっては、聞きなれた言葉たち。でもここにきてようやく情報としてではなく、いま考えていることの浅薄さと紐づくようになってきた。私の博論、果たしてこのままでいいのだろうか。
休憩を挟んで、WANAC2期にて上野先生の指導を受け、論文執筆にまでたどりついた方の発表を聞いた。今日ここに初めて集った仲間たちが真剣な面差しで聴いている。これからこの方々とどのようなピア関係が築かれていくのだろう。私はコメンテーターを務めたが、そのなかでケアリング・マスキュリニティという概念に触れた。なかでも「葛藤的男性性」は、ケアの態度の程度は高いが、伝統的なジェンダー観を持ち、その負担感から生活の質が低下する(多賀・石井・伊藤・植田、2025)ことが明らかになっているのだが、うまく紹介しきれなかった。上野先生がそれを切れ味良く表現してくださり、小さな衝撃が走った。
この夏、短い論文を書いた。資料の山にまみれながら、嘲笑されなぶりものにされる女性たちの声が聞こえた気がした。ふざけるなという気持ちと、これをクールに解き明かしたいという思いが錯綜した。埋もれてきたものを掘り起こし、そこに何があったのかを記述すること。それもまた、ジェンダー研究の意義なのではないかと思った。
私がやれることはたかが知れている。拙い論文を書いたくらいでは何も変わらないだろう。それでも、毎朝家の前を元気よく通学していく小学生の女の子たちが大人になる頃には、いまより少しでも何かが変わっていてほしいと思う。私が暗い顔をして産後をすごしていた頃、上野先生のご著書に励まされたように。ここに集った幸運な仲間たちとともに、情報を生産していきたい。(森)
参考文献:多賀・石井・伊藤・植田(2025)「ケアリング・マスキュリニティの複数性に関する計量分析(3) : 欧米における「葛藤的男性性」の探求」關西大學文學論集75(3)pp.67-95。
【受講レポート2】
アドバンスコース(以下AC)が新しく始まりました。ACは「WANフェミニズム入門塾(入門塾)」修了生の、次のステップとして位置付けられています。私は入門塾2期を修了し、3期は運営スタッフとして参加しました。入門塾は「入門」とうたっていますが、フェミニズム初心者ばかりというわけではなく、フェミニズムをもっと知りたいという共通の目的を持った語りの場でした。それを二巡した中で、「モヤモヤ」の正体は見えてきた気がする!と思ったのと同時に、全貌が掴めないくらいに広がってしまった気がして、途方に暮れました。このまま思考の渦に溺れたくない、自分なりにまとめて出力できるようになりたい、と、ACへの参加を決めました。
今期の受講生は16名。社会人として学び続ける人、論文を執筆されている人たちと合流し、引き締まる思いがします。バックヤードを担ってくださる「いきもの係」には入門塾の先輩のお顔もあり、緊張しつつもほっと安心しました。大学時代はPC導入前だったので、ネットでの提出システムも初体験です。
前半、上野さんからのレクチャー。
「12000字って書いたことある?」(ありません)
「2000〜4000字なら思いつきで埋まるけれど」(!?)
「12000字書くには設計図が必要です」
次回は全員がそれぞれプレゼンする予定です。最初に発表するのはAC応募時に命からがら作った「研究計画書」。とても人前で発表できるレベルではありません。次回までにリバイズしなくては!
後半は先輩による研究発表でした。調査を進める中で仮説が通らず、最初の計画書を大きく書き換えたとのこと!導き出した結論は、意外な、「新しい」ものでした。「それはジェンダー研究の最近出た本にある理論と近い」と上野さん。サンプルの少なさや偏りもこの場合はOK。少ないサンプルからエビデンスを取り出せて「コスパが良い」と褒められていました。知の発見の瞬間に立ち合っているような気分でした。
ACでは毎回、すべての発表に対してコメントを提出するとのこと。リアルタイムで聞きながら理解して、自分の意見を書いて、指定の書式でアップする。まともにできるのか甚だ不安です。しかし、ゼミが終わりに近づいたころ、笑顔の上野さんが「課題を出します、前半の上野レクチャーと後半のプレゼンについてのコメントを」と一言。
ゼミが終わってホッとしたのも束の間、ピコンピコンとスマホが鳴り出しました。課題のコメントが早速、メーリングリストに続々と届いています。締め切りは24時間後じゃなかったっけ!? あぁこれが、前期ACのレポートで読んだやつか。自己紹介全員分に対して、見本にと数行ずつコメントをつけてくださった先輩も。なるほど、その場で聞きながら書くってこういうことか。こんなにたくさん「思い出し書き」なんてできないし、「なんとなく余韻に浸ってから書こう」なんて通用しない。頭の中を仕切り直しせざるを得ません。
翌日もまた、スマホがピコンピコンと鳴ります。昨夜提出されたほぼすべてのコメントに対し、上野さんからのお返事が届いているのです。読んだ端から返信なさっているような。これがACの基準か、、、。
『情報生産者になる』を読んでいたつもりでしたが、見事に畳水練。今回具体的な説明をいただき、実例を見て、自分でやってみてやっと現実が見えてきた、そんな第0回でした。
「問いを立てることができれば、半分は成功」。まずはこれを成就させるべくがんばります!!(さえこ)
2026.09.22 Tue









