2014.04.11 Fri
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください. タイトルにある「チャリング・クロス街84番地」とはロンドンの古書店の住所。本書には、ニューヨークでTVドラマなどの脚本家として働く女性(編著者へレーン・ハンフ)がロンドンの古書店と交わした、1947年から1969年までの手紙が収められている。本をこよなく愛する彼女は、その好みもうるさいが、といって金持ちではない。そしてその彼女の注文に、書店員は誠実な態度で対応する。ハンフは(ふざけて)悪態をつき、送られてきた本に文句を言う一方で、1940年代後半、配給制でなかなか食料が手に入らないイギリスに住む書店員たちにハムや卵を贈る。それはしだいにパーソナルな交流へと発展していく。
家族でもなく、恋人でもなく、熱い思いのたけを綴るのでもない、けれどそこには、またそれとは別な「親密さ」がある。本を介する関係、しかも何年にもわたって、本を通してつながるとは、みずからを語らずして互いを信頼しあうことなのかもしれない。読後に余韻の残る素敵な本。(lita)