2015.07.29 Wed
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.中国におけるジェンダーやセクシュアリティについては、さまざまなイメージや偏見が流布されているが、専門家の間でさえ、きちんと分析され論じられたことはほとんどなかった。
本書は、米国における中国女性史研究開拓者の一人であるスーザン・マンさんが、これまでの研究成果を若い学生むけのテキストとして集大成したもので、ジェンダー視点における中国研究にとって重要な礎石のひとつとなった。原題は『近代中国史におけるジェンダーとセクシュアリティ』だが、前近代、とりわけ明清時代との対比、変化、継承についても詳しく叙述されている。
本書で取りあげられるトピックは、身体の変形や装飾、異性愛と同性愛、隔離される女性と社会から排除される独身男性など狭義のセクシュアリティにかかわるものにとどまらず、政治や法、医学、芸術、スポーツと広範にわたり、それらのトピックが国家、身体、他者(外国対中国、漢民族対少数民族)、公民性といった大きな分析枠組の中に位置付けられ、叙述されている。
中国研究を専門とする者にとってもスリリングな内容だが、中国専門ではないジェンダー研究、クイア研究にかかわる方たちにも、興味深く読んでいただけると思うので、ぜひ手にとっていただきたい。目からウロコのいくつかが落ちるにちがいない。
本書の翻訳にたずさわった5人は、中国研究者で女性という共通点はあるものの、年齢、国籍、専門、得意とする分野などはバラバラである。翻訳の過程ではいろいろな問題にぶつかったが、カバーしあってクリアし、刊行にこぎつけた。著者のスーザン・マンさん、担当編集者の竹内涼子さんを加え、まさに “SISTERHOOD IS POWERFUL” を実感させられる共同作業として、訳者自身にも心に残るものになった。(共訳者 秋山洋子)
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