2009.08.13 Thu
8月13日、日本共産党から回答が届きました。以下に回答をアップします。2009年8月13日
ウィメンズ アクション ネットワーク(WAN) 御中
日本共産党
女性に関する政策「緊急アンケート」への回答
1 女性の雇用
(1,1) 男女雇用機会均等法の実効性を高めるため、貴党はどのような政策を実施しますか。該当するものを(いくつでも)○で囲んでください。また、その他に政策があればお書きください。
○ 1、昇進・昇格等における差別の実態を調査する。
○ 2、違反企業名公表を徹底する。
○ 3、法改正を行い、より強い罰則規定を設ける。
○ 4、啓発により、企業や使用者の意識改善を促す。
○ 5、その他、何かございましたらお願いします。
禁止する間接差別を3項目に限定している規定や、雇用管理区分(職種、資格、雇用形態、就業形態)が異なれば待遇が違っても法違反ではないとしている規定をなくします。救済・差別是正を実効あるものにするために、気軽に相談できる窓口をひろく整備するとともに、権限のある独立した救済機関を設置し、立証責任と資料提出義務を企業側にもたせ、違反事業主への制裁措置を強化する。差別是正のための積極的な取り組みを一定規模以上の企業に義務化します。
(1,2) 労働者の性別や雇用形態に関わらない「同一価値労働同一報酬」を実現するために、どのような政策を実施しますか。該当するものを(いくつでも)○で囲んでください。また、その他に政策があればお書きください。
○ 1、同じ職場で同じ仕事をしている人の待遇の格差についての調査を実施する。
○ 2、同じ職場で同じ仕事をしている人の待遇に格差がある場合、罰則規定を設ける。
○ 3、同じ職場で同じ仕事をしている人の待遇に格差をつくらないよう、企業や使用者の意識啓発と指導を行う。
○ 4、最低賃金を引き上げる(目標金額 時給1000円以上 )
○ 5、その他、何かございましたらお願いします。
労働者派遣法やパート労働法などを抜本的に改正し、「同一価値労働同一賃金」の原則にもとづく均等待遇の法制化をすすめます。労働者の相談窓口や企業に対する監督・勧告・指導をおこなう体制を拡充・強化します。
(1,3) 派遣労働や有期雇用などの非正規労働の問題を解決するため、貴党はどのような政策を実施しますか。該当するものを(いくつでも)○を囲んでください。また、その他政策があればお書きください。
○ 1、登録型派遣制度(派遣会社に登録して仕事があるときだけ雇用契約を結ぶ)は原則禁止する。
○ 2、派遣労働者の直接雇用の義務が生じた場合の、違反企業への罰則を強化する。
3、労働者派遣法を規制強化し、(26業種を含め)一切の派遣労働を禁止する。
○ 4、期限のある仕事以外は、有期雇用を認めないことを原則とする。
○ 5、派遣・有期雇用を含めたすべての非正規労働に、正規労働との「同一価値労働同一労働の原則」を適用するよう企業を指導する。
○ 6、非正規労働者の社会保険加入を促すための施策を実施する。
○ 7、その他、何かございましたらお願いします。
労働者派遣法を、派遣労働者の雇用と権利をまもる派遣労働者保護法に抜本改正します。登録型派遣は原則禁止し、専門業務にきびしく限定するとともに、現行の専門26業種自体も見直します。製造業への派遣を禁止する。事前面接や「系列派遣」「もっぱら派遣」の場合、また偽装請負や社会保険未加入派遣などの違法状態が一年以上継続している場合は、派遣先が直接雇用したものとみなします。紹介予定派遣の廃止。労働契約の中途解除の制限。労働基準法を改正して期間の定めのある契約を制限します。
(1,4) 妊娠・出産、産前・産後休業・育児休業の申し出や取得を理由に、解雇や雇い止めなどの扱いを受ける「産休切り」・「育休切り」が全国的に急増していますが、これを防ぐために育児・介護休業法の「不利益扱いの禁止」をいかにして強化しますか。
○ 1、監督官庁による是正指導を徹底する。
○ 2、罰則を設ける。
○ 3、その他、何かございましたらお願いします。
都道府県労働局や雇用均等室の統廃合を許さず、気軽に相談できる窓口の拡充、相談に親身に対応できるよう体制強化を図ります。
(1,5) 長期化する求職活動中の若者の生活を保障する制度がありません。このような状況に対して、貴党はどのような政策を実施しますか。該当するものを(いくつでも)○で囲んでください。またその他に政策があればお書きください。
△ 1、これまで一度も職に就いたことが無くても、失業保険を受給できるようにする。
○ 2、若い世代を対象とした、生活保障付きの職業訓練制度を設ける。
3、ベーシック・インカムを導入する。
4、その他、何かございましたらお願いします。
1、について、新卒未就職者を含めて、未就職「失業者」が、雇用保険特別会計で実施されている職業訓練やそれにともなう生活援助などの施策から除外されている現状を改めるべきだと考えています。未就職者のうち、どの部分を「失業者」とするかなどは検討の余地はありますが、雇用保険特別会計のいわゆる二事業の範囲や、一般会計からの支出などを含めて、就職を希望しながら職に就けない人たちへの支援を強化すべきだと考えています。ただ、それらの事業を、一般的な雇用保険の失業給付に含めることは、雇用保険加入者の合意を含めて、検討が必要だと考えます。
就職相談体制の整備、希望するすべての求職者、失業者に職業訓練の機会を提供でき、技術や技能、資格を取得できるように職業訓練を充実・強化します。「内定取り消し」を許さず、就職活動の早期化・長期化を改めるため、実効性のあるルールをつくります。雇用保険を抜本的に拡充し、失業給付期間を、現在の90-330日から180-540日程度までに延長する、給付水準の引き上げ、受給資格の取得に要する加入期間の短縮、退職理由による失業給付の差別をなくし、受給開始時の3ヵ月の待機期間をなくすなどの改善をすすめます。失業給付を受けられない失業者などへの支援をすすめ、生活援助を、生活に困窮しているすべての失業者を対象にするよう抜本的に拡充するとともに、恒久的な生活扶助制度として確立します。家賃補助、公共住宅建設や生活資金貸与などの支援を強めます。
2 女性の貧困
(2,1) 高齢期女性の貧困問題を解決するため、貴党はどのような方策を考えておられますか。該当するものを(いくつでも)○を囲んでください。また、その他に政策があればお書きください。
△ 1、非正規労働者の社会保険加入、第3号被保険者制度の廃止など、女性の就労を促すための施策を実施し、女性が自分の厚生年金で生活できるようにする。
○ 2、主婦を含めすべての人が受け取る基礎年金に、最低生活保障の機能をもたせる。
○ 3、遺族年金と女性本人の年金の併給の上限額を引き上げる。
○ 4、社会保険の低所得者対策(保険料免除制度など)を充実させる。
○ 5、基礎年金の25年間の保険料納付義務を緩和する(10年間まで)。
○ 6、高齢者に対する生活保護制度をより利用しやすいものにする。
○ 7、医療や介護などの保険料、自己負担率を高齢期の貧困者に対しては引き下げる。
8、その他、何かございましたらお願いします。
女性の地位の低さが、高齢期の女性の暮らしの貧困につながっていることはあきらかであり、社会保障を削減から拡充へ大きく転換をはかるとともに女性がどんな生き方を選択しても老後の生活が保障されることが必要です。
そのことにもかかわって、1の項目についてですが、私たちは、女性が社会進出していけるかどうかは、男女平等の重要な課題と考えています。一人目の子どもの妊娠・出産で7割の女性が退職するなどあまりにも働き続けることが困難な状況、男女賃金格差、非正規雇用の低賃金問題など、女性の就労の継続を妨げている問題の解決が必要です。職場でも、家庭でも、社会でも男女平等を徹底し、女性も男性も安心して仕事も家庭も両立できる社会にしてこそ、女性の就労は促進できると考えています。また、非正規雇労働者の社会保険加入は権利であり、企業の保険料逃れのために未加入になっている問題を解決しなければならないと考えています。現行の第3号被保険制度は、保険料を他の被保険者に負担させている矛盾があり、この問題の改善が必要です。しかし、今、第3号被保険制度を廃止することが、女性の就労を促進するものになるとは考えていません。
(2,2) 母子家庭に対する政策として、貴党はどのような政策を実施しますか。該当するものを(いくつでも)○を囲んでください。また、その他に政策があればお書きください。
○ 1、生活保護制度の母子加算を復活する。
○ 2、児童扶養手当の有機化を撤廃する。
○ 3、公営住宅の入居保障と低所得世帯への家賃補助を実現する。
○ 4、希望する全ケースの保育所入所を実現する。
○ 5、母親の就業訓練中における生活保障を整備する。
○ 6、就学援助制度を高等学校まで延長する。
○ 8、父子家庭にも同様の政策を適用する。
9、その他、何かございましたらお願いします。
母子家庭の母親が、昼も夜も、二つも三つもパートをかけもちし、働きづめの生活をしいられるなど、わが身を犠牲にしなければ子どもが育てられない社会は、まともな社会ではありません。また、一人で仕事と子育てをする大変さは、父親でも母親でも代わりません。
社会保障の削減から拡充へ大転換をはかるとともに、高校授業料無償化、給付制奨学金の創設など教育費負担の軽減をともにすすめ、母子家庭にも、父子家庭にも、必要な子育て・生活支援を強めるために力をつくします。
3 女性の人権
(3,1)憲法改正論議についてお尋ねします。「家庭生活における個人の尊厳と両性の本質的平等」を定めた日本国憲法第24条につきまして貴党として、改定をめざすか、このまま堅持するか、いずれかを○で囲んでください。また、併せてその理由もお書きください。
1、改定をめざす
○ 2、堅持する
理由
家庭生活における個人の尊厳、両性の平等を明らかにした憲法24条は、平等と民主主義を徹底した内容となっており、堅持し、その立場を徹底していくことが大切だと考えています。
日本共産党は、「財界中心」「軍事同盟絶対」の自公政治にかわる「国民が主人公」の政治の実現をめざしており、その「国民が主人公」の政治をすすめる政権・民主連合政府のすすめる改革の大きな柱に憲法を守り、徹底することをすえています。
(3,2) 「ジェンダー」という言葉や概念の使用についてお尋ねします。行政文書や学校教科書などでの「ジェンダー」という用語の使用禁止、「ジェンダー」に関する書籍の公立図書館からの排除といった動きがみられますが、貴党はどのようにお考えでしょうか。いずれかを○で囲み、併せてその理由もお書きください。
1、「ジェンダー」排除は正しいので支持する
2、「ジェンダー」排除は言論弾圧なので取り締まる。
いずれにも○はつけず、以下を付記する。
世界では、国連総会での「ジェンダー主流化」の重要性の確認もうけ、ジェンダー平等にむけた施策の策定、見直し、実行などがすすめられていれているところであり、これらは女性差別撤廃、男女平等実現のための積極的な流れだと考えています。
日本では、ジェンダーという用語をめぐって、侵略戦争を肯定し、戦前の社会を「理想」のように考えて、国連女性差別撤廃条約の批准そのものを撤回させようとしている勢力が、 政府文書や地方の行政文書などから「ジェンダー」の文言の削除、図書の撤去などをもとめる攻撃をおこなってきたことは、世界の進歩・発展からの逆行もはなはだしく、また不当な攻撃だと考えています。
しかし、それへの対応は、取り締まることではなく、こうした民主主義、男女平等を否定する勢力を政界の中枢から排除することであり、国民の世論と運動で地域社会から孤立させていく大きなたたかいが大事だと考えます。
(3,3) 戦争責任処理の問題および「慰安婦」問題について、貴党はどのようにお考えでしょうか。該当するものを(いくつでも)○を囲んでください。またその他にお考えがあればお書きください。
○ 1、「村山談話」を継承する
○ 2、元「慰安婦」の方たちに政府として補償を行なう。
○ 3、「慰安婦」問題を含めた、戦後補償特別立法を推進する。
4、その他、何かございましたらお願いします。
「慰安婦」問題は、日本政府が起こした侵略戦争の責任を疑問の余地のない明確な形であきらかにするとともに、被害者に謝罪と補償・賠償をおこなわなければ解決しません。
「村山談話」は、「植民地支配と侵略」への「おわびと反省」を示しています。ところが政府は、「慰安婦」問題については、国による補償・賠償責任を明確にせず、民間基金方式をとったために、問題はいまだに未解決です。
日本共産党は、「心からのおわび」を踏まえ、「慰安婦」問題の真の解決のために、国の責任を明らかにし、「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律」をつくるために力をつくします。
自公政権は、安倍首相(当時)が「強制連行はなかった」と事実を否定する発言するなど、いまだに「慰安婦」という非人道的行為の清算をまともに行なっていません。こうした態度は、国際的に大きな批判をあびています。
(3,4) 人身取引問題について、どのような対応が必要だと考えておられますか。該当するものを(いくつでも)○で囲んでください。また、その他にお考えがあればお書き下さい。
○ 1、人身取引の実態を調査し、防止啓発をすすめる。
○ 2、「人(特に女性と子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書」、「国際組織犯罪防止条約」および「すべての移住労働者とその家族の権利の保護に 関する国際条約」の批准をすすめる。
○ 3、人身取引被害者を対象に、多言語で年中無休のホットラインと支援を提供できるような地域専門サービスを設置する。
4、その他、何かございましたらお願いします。
日本共産党は、性的に搾取する目的のために女性や子どもを「売買」するやり方を、許しがたい人権侵害として厳しく批判し続けてきました。「人身売買」を禁止し、被害者を保護するための法改正で一歩前進しましたが、被害者保護は不十分で、シェルター提供などは既存の制度の運用を強めるだけにとどまっています。法律で被害者は保護を受ける権利があることを明確にし、専門スタッフを配置するなど、独自の本格的な対策が必要です。
(3,5) DV(ドメスティック・バイオレンス)やストーカー、強姦等が社会問題となっています。これらの女性への性暴力について、貴党はどのようにお考えでしょうか。該当するものを(いくつでも)○で囲んでください。また、その他にお考えがあればお書き下さい。
1、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」、「ストーカー行為規制法」の罰則規定を強化する。
○ 2、女性のための性暴力救済センター、相談所を各都道府県に設ける。
○ 3、被害者のためのシェルターを増設する。
○ 4、保護命令が迅速に出るようDV法を強化する。
5、その他、何かございましたらお願いします。
女性への暴力は、女性の人間としての尊厳、人権を侵害する差別です。職場、家庭、社会で、女性に対するあらゆる暴力をなくし、女性の尊厳、人権を守ることができる社会にしていかなければならないと考えています。職場、家庭、社会でのあらゆる女性への暴力をなくすために、一つは、必要な法的改善措置をさらにすすめていくこと、第二には、暴力を許さない社会的な合意をつくっていくことが必要だと思っています。
(3,6) 性的少数派の人たちの権利擁護について、貴党はどのようにお考えでしょうか。該当するものを○で囲んでください。また、その他にお考えがあればお書き下さい。
1、とくに政策は考えていない。
○ 2、性的少数派に関する立法を考えている。
具体的に; 未成年の子どもがいても性別の変更が可能となるよう、「性同一性障害特例法」を見直す。
3、その他、何かございましたらお願いします。
性的マイノリティの人権保障につとめ、同じ一人の人間として、自分らしく豊かに暮らせる社会をつくることが求められています。
仕事や住宅入居などのあらゆる差別をなくし、公的書類における不必要な性別欄の撤廃を求めます。保険適用に性同一性障害をくわえ、治療のできるクリニックの拡充を求めます。公営住宅、民間賃貸住宅の入居や継続、看護・面接、医療決定の問題など同性カップルがいっしょに暮らすにあたっての不利益の解消に力をつくします。
★以上の他に、女性に関わる政策のうち、貴党が優先的に実施を予定されている施策があれば、自由にお書きください。
いま女性たちは、企業や地域など社会のあらゆる分野で、力を発揮しています。しかし女性の役割が正当に評価されず、地位や平等の改善はすすんでいません。それどころか、政府・財界がすすめる正規雇用を非正規雇用におきかえる政策のもとで、職場で働く女性の過半数が非正規雇用となり、格差はますます拡大しています。妊娠・出産による差別的扱いも横行しています。女性にも長時間労働がひろがり、保育所をもっぱら民間に依存しようという保育政策のもとで保育所不足が深刻となり、家庭や子育てとの両立はいっそう困難になっています。
私たち日本共産党は、こうした現状のもとで悩み、その改善をもとめる女性の願いにこたえて、企業の女性差別や不利益扱いを許さず、差別是正のための法改正をすすめます。女性も男性も仕事と家庭の責任を果たせるよう社会的援助を強め、保育の市場化をすすめる保育制度の改悪には反対します。民法改正をはじめ男女平等・人権尊重・民主主義をすべての分野につらぬくために力をつくします。
今度の総選挙の基本政策の三つ目の柱「民主主義がつらぬかれ、人権が大切にされる社会をつくります」のトップに「世界でも異常な女性への差別をなくし、『両性の平等』を社会に徹底します」をかかげています。また、これとは別に各分野の政策の一つとして「男女平等」の政策の詳細を発表しています。日本共産党のホームページに掲載されていますので、ぜひご覧ください(http://www.jcp.or.jp/)。
以上
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