2011.08.04 Thu
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「えっ、あの坂東眞理子さんと上野千鶴子さんの対談集!?」と驚くのはすこし早い。読んでいくともっと驚く。
「嚙合っている・・・。」否。「噛みつき合っている」のではなく、「それぞれ違う性質をもつもの同士がしっくりと合って、うまく話が進んでいる」のだ。
おふたりとも富山県生まれ、団塊世代、男職場の中に参入していった初の女、ポスト還暦、リアリスト。共通点は多い。では、さて、何が違うのか。
おひとりはアカデミックなフィールドで腕っ節をうんうん唸らせながら、もうおひとりは、品格がものを言う、黙らせながら。そう、作法が違うのだ。いずれも群れ台頭するオトコ社会をかち割り、そして融かしてきたのだ。
同じ時代を生き、日本の社会と女の変貌について、同じ現実を見てきた。男職場の中に参入し、新しい分野で、応援団はいない、予算はない、権力はない、そんな孤独な戦いをくぐりぬけて、お互いおもしろくてしょうがない時代を味わったと振り返る。転んでもただでは起きないスピリットこそ、パイオニアとなりうる。その根底には、女がまとめて差別されてきた時代の抑圧があった。
上野さん、坂東さんが拓いた道は、女が強者となって、意思決定権を握るためだけを行き先としない。時代はすでにそんな強者を生み育てることを、望んではいないのだ。
揺り戻しはありえない。「今」をひらく鍵はなにか。
パイオニアに追随する多くの人をみるとき、真価を知る。この先へ行くのだ。
堀 紀美子
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