2014.12.06 Sat
北原みのりさんとろくでなし子さんの不当逮捕に抗議し即時釈放を求める緊急声明
(2014-12-05 特定非営利活動法人アジア女性資料センター)
12月3日、セックスグッズショップ「ラブピースクラブ」経営者で作家の北原みのりさんと、女性器をモチーフにした作品を制作してきたアーティストのろくでなし子さんが、「わいせつ物頒布等の罪」容疑で警視庁に逮捕された。
アジア女性資料センターは警視庁による二人の逮捕に対して、表現の自由に対する弾圧、女性の身体的・性的権利に対する暴力的侵害であると強く抗議し、即時釈放を求める。
報道によると、ろくでなし子さんは取り調べに対して「女性器はわいせつ物ではない」と容疑を否認している。今回の逮捕は海外でも広く報道され、公共の場における性的表現と性の商品化に非常に「寛容」な社会として知られる日本において、なぜこのような逮捕が起きるのかと不思議に思われている。一体なぜ、男性目線に囚われてきた女性器を女性の主体的な表現活動を通じて取り戻そうとしてきたアーティストのろくでなし子さんが二度も逮捕され、女性が自分の性を主体的に語り行動する自由を切り開いてきた北原みのりさんが逮捕されなくてはならないのか。刑法「わいせつ物頒布等の罪」を構成する「わいせつ」の定義また「被害者不在の犯罪」をめぐって、その家父長制的解釈や表現の自由の侵害について、フェミニストの視点からあらためて批判的に問い直す必要がある。
北原みのりさんは当センター機関誌『女たちの21世紀』78号の巻頭対談「ヘイト・スピーチをする『愛国女性』たち」でレイシズムに傾倒する女性の状況について議論し、逮捕の2日前の12月1日付コラムで「辻元清美さんに関する中傷と私の責任・謝罪。」と題して「女性の活用」を強調する安倍首相の女性蔑視的態度について批判的論評をするなど、フェミニスト視点からの政治コメンテーターとしても活躍してきた。このような北原さんが衆議院選挙開始直後また秘密保護法施行前夜に逮捕されたことは、政府批判の萎縮を狙った弾圧ではないかという疑念も大いに抱かせる。
わたしたちは人権の尊重とジェンダー平等にもとづく真に民主的な日本社会を目指す立場から、女性がみずからの身体と性について主体的に表現できる社会的空間を創造してきた北原みのりさんとろくでなし子さんの活動に敬意を表すものである。警視庁による今回の二人の逮捕は「女性のからだは女性のものではない」という男性中心的価値観の暴力的な宣言であり、自分らしく生きるために自由にものを書き発言し表現活動をするすべての女性たちへの弾圧に他ならない。両名の即時釈放を要求する。
2014年12月5日
特定非営利活動法人アジア女性資料センター
〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町14-10-211
Tel:03-3780-5245 Fax:03-3463-9752
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