『読売新聞』読書欄で、二〇〇五年~二〇一四年に掲載された小泉今日子さんによる 書評、九十七篇を一冊にまとめました。小泉さんの書評の特徴は、何と言っても、 「その本を読みたくなる」ということにつきます。新聞掲載時は、「小泉さんが書評 で取り上げた本は売れる!」と話題になりました。作品の世界をきちんと伝えなが ら、書き手の心象風景まで浮かんでくる文章なので、「自分がこの本を読んだら、何 を感じるだろうか」という興味をかき立てられるのだと思います。 ブックガイドとしての読み方とは別に、「小泉今日子の十年間の歩み」が伝わって くるのも、本書の楽しみのひとつです。三十八歳~四十八歳という、女性がこれから の人生を考えざるを得ない期間に書かれた九十七篇。特に同性の読者に、共感して読 んでいただけると思います。(編集者 山田有紀)