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黒人音楽と白人ミュージシャン、女性ベーシストCarol Kaye  堀あきこ

2009.07.09 Thu

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「メジャーの隣」というテーマで、カナダの歌姫を取り上げた岡野さんのエッセイからバトンを受け、私は、世界で最も巨大なアメリカのミュージックシーンについて触れてみようと思う。
私にとってアメリカを代表する音楽といえば、R&B(リズム&ブルース)。それも「今」流行っているタイプではなく’60縲・70のもの。黒人音楽であったジャズやゴスペル、ブルースを取り込んだR&Bは、海を越えThe Rolling StonesThe Whoといったバンドを生み出し、日本ででもムーブメントを起こした。
「メジャーの隣」というテーマで、カナダの歌姫を取り上げた岡野さんのエッセイからバトンを受け、私は、世界で最も巨大なアメリカのミュージックシーンについて触れてみようと思う。
私にとってアメリカを代表する音楽といえば、R&B(リズム&ブルース)。それも「今」流行っているタイプではなく’60縲・70のもの。黒人音楽であったジャズやゴスペル、ブルースを取り込んだR&Bは、海を越えThe Rolling StonesThe Whoといったバンドを生み出し、日本ででもムーブメントを起こした。

’60縲・70のR&Bは2つの潮流に分けることが出来る。

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1つはメンフィスで生まれた“スタックス”という、アメリカ南部のシンプルで荒削りなサウンドを特徴とするレコードレーベル。Sam & DaveOtis ReddingJames BrownAretha Franklinといったシンガーが有名だ。
当時は、シンガー+レコード会社専属バンドという形のレコーディングが主流で、スタックス(アトランティック)にはハウス・バンドとしてBooker T. &The MG’sが在籍。黒人と白人で構成されたこのバンドは、スタックスがブレイクするきっかけとなった。

だが、公民権運動の盛り上がりとともに、黒人コミュニティの中から生まれたインディペンデントなレコードレーベルに白人プレイヤーが存在することが問題視されるようになる。
黒人解放運動側から圧力がかかり、MG’sの白人メンバーはスタックスから離れることとなった(映画「ソウル・オブ・スタックス」(2003)では、人種差別への反発から起こったワッツ暴動(1965)と、それに巻き込まれたMG’sメンバーの映像とともに、バンドにかかった圧力について、メンバーの口から控えめに語られている)。
以降、彼らの存在は映画「ブルース・ブラザーズ」(1980)で脚光が当てられるまで、忘れられたものとなる。

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もう1つの潮流が、デトロイトに拠点を置き、洗練された北アメリカのサウンドを特徴とした“モータウン”だ。
こちらはDiana Ross(The Supremes)、The TemptationsMarvin GayeStevie Wonderといったアーティストが有名。2006年に映画化されたミュージカル「ドリームガールズ」に、この時代を見ることができる。

モータウンもスタックスと同様、黒人経営の小さなレコードレーベルとして誕生。そして、こちらの演奏を手がけたThe Funk Brothers(メンバーはすべて黒人)は、音楽好きの間ではモータウンサウンドを創り出したバンドとして有名だった。
2002年、彼らを取り上げた映画「永遠のモータウン」がロードショー。現在と違ってレコードジャケットにクレジットすらなく、影の存在だった彼らに、ようやく陽が当てられたのだった。

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黒人による黒人のための音楽が、白人層をも巻き込んで、世界に名をとどろかせるビッグ企業に成長。有名なシンガーの影となり、素晴らしい演奏でレーベルを支えた黒人バンド……
それが、これまでのモータウンとThe Funk Brothersをめぐる定説だった。
しかし、女性ベーシストCarol Kayeは、モータウンの演奏はThe Funk Brothersだけでなく、彼女のプレイが数多く含まれていたと告発。
モータウンは、黒人企業・黒人ミュージシャンという特徴を前面に打ち出した。そのため、白人プレイヤー、レーベルの拠点(デトロイト)ではないLAのプレイヤー、そして、女性プレイヤーの存在を暗闇に追いやったのだ。
彼女が演奏したという曲には、モータウンが誇るThe Supremesの多くの曲、例えば「Stop In The Name Of Love」「You Can’t Hurry Love」、その他にもFour Tops「Reach Out I’ll Be There」があげられている。

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彼女は告発によって、今も批判や侮辱を受けているという。「女にあんな演奏ができるはずがない」というバカげた前提に加えて、モータウンは黒人文化の中で生まれたものであり、白人ミュージシャンの手など借りていない、という「黒人のもの」というイメージを維持しようとする力によって、だ。
彼女の演奏はモータウンにとどまらない。The Doorsの「Light My Fire」やThe Beach Boys「Good Vibration」「California Girls」、Simon & Garfunkel 「Scarborough Fair」といった曲でプレイを聴くことができる。
こうした実績からも、彼女が素晴らしいプレイヤーであることはいうまでもないだろう。
女であり白人であるがゆえ、彼女が受けられなかった賞賛やリスペクト、彼女のミュージシャンとしての人生に及ぼした/及ばさなかった影響を考えると、なんともやるせない気持ちになる。
そして、彼女がとった勇気ある告発に、胸が痛くなるのだ。

参照URL Carol Kaye オフィシャルサイト
http://www.carolkaye.com/

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興味を持たれた方は絶版ですが、
鶴岡雄二『急がば廻れ’99竏茶Aメリカンポップミュージックの隠された真実』をどうぞ

次回「悪女」なんかじゃないよね 」へバトンタッチ・・・・つぎの記事はこちらから








カテゴリー:リレー・エッセイ