お母さんの自分だけの部屋が完成した。
壁も床もまっさらな、光のよく入る部屋で、次は内装で、ここに好きな家具や物を揃えてゆっくり過ごすのかなぁと嬉しく思っていた。
部屋が完成して数か月たった。家具が到着するの遅いなあぁと思ってみていたが、ある日、「もしや、これでもう完成しているのでは?」と気が付いた。
本人に聞いてみると、「とうに完成している」という答えが返ってきた。
この、極力何も置かない部屋(写真)こそが、母の自分の部屋スタイルなのである。
少し前、大学の時の友人と久しぶりに会うと「俺、最近ミニマリストてことでやってるんよ」といっており、知らないうちにミニマリスト界の寵児みたいな有名人になっていた。
ミニマリストというのは物を極力持たない生活をする人のことである。
本もDVDもすべて電子化し、余計な家具や装飾などは一切もたないそうである。ミニマリストになる動機やそのスタイルは人それぞれであるが、友人の彼は消費社会への抵抗としてミニマリストになったそうである。
世の中には色んな人がいるもんだなと思っていたが、まさか自分の母がそうであるとは気が付かなかった。これも、母が自分だけで自由にできる部屋をもっていなかったから今までわからなかったことであるなぁと思った。