受賞者森川万智子さんの著書

今年の第20回女性文化賞はフリーライターの森川万智子さんに授賞が決まりました。

森川万智子さんは1992年から、韓国人の文珠珠(ムン・オクチュ)さんが連行された戦地ビルマで預けていた軍事郵便貯金の支払いを求める運動を展開しました。95年からビルマの現地調査を始め、その間、文さんが問わず語りに話した「慰安婦」時代の体験を記録しました。文さん没後の97~98年、ビルマ(ミャンマー)に15ヵ月間滞在し、200人以上の現地の人びとへの聞き取りと、慰安所とされた建物の調査を行いました。
元「従軍慰安婦」だった女性たちの物語が、軍事郵便貯金原簿の写しや日本軍の正史ともいえる『戦史叢書』、ビルマ現地の日本軍兵補の思い出、慰安所関係者の当時の日記などで証明された例はきわめてまれで、貴重です。
著書に『文玉珠 ビルマ戦線 楯師団の「慰安婦」だった私』(1996年、梨の木舎)、『ビルマ(ミャンマー)に残る性暴力の傷跡』(1998年、自家版)、映像作品『ビルマに消えた「慰安婦」たち』(1999年、ビデオ塾)、『ビルマの日本軍「慰安婦」』(2000年)、『シュエダウンの物語』(2006年)。

森川万智子さんは1947年3月福岡県太宰府市生まれ。山口県立下関南高校卒。66年から郵便局員として働き、労働運動を16年間続けました。86年退職、出版社・印刷会社勤務を経て、現在フリーライター。福岡市で小規模な老人介護施設を経営しています。

女性文化賞は1997年に創設された手作りの賞です。文化の創造を通して志を発信している女性の文化創造者をはげまし、支え、またこれまでのお仕事に感謝することを目的としています。賞金は50万円、記念品として女性画家によるリトグラフ一点を贈ります。
女性文化賞を20年間続けてきましたが、健康上など諸般の事情で今年をもって終わりにいたします。この志を継いでくださる方を期待しています。 
   2016年12月9日       高良留美子

「女性文化賞」授賞式
時:2017年1月27日(金)18時半
所:梨の木舎(千代田区三崎町2−2−12 エコービル)
参加希望者は、梨の木舎まで(TEL:03−6256−9517)