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あの事件をいかに考えるか?『橋の上の「殺意」-畠山鈴香はどう裁かれたか』鎌田慧

2009.10.20 Tue

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鬼畜の所業――社会的に「許されざる」犯罪が起きたとき、マスコミなどはこぞってこういうフレーズを使う。その背後に見え隠れするのは、「こんなことをする奴は死刑にされて当然じゃないか」というお決まりの犯人像で、そのような犯人像を作り上げるという目的に向かって、被告の様々なプライベートが容赦なく暴かれる。そして、「いかに被害者が苦しんでいるか」という一点のみの感情的な世論操作は、死刑待望論へと結実する。しかし、そこで暴かれるものは異性関係とか性癖とか日々の「奇行」とか、向かう犯人像に都合のよい事柄のみで、シングルマザー家庭の貧困や介護負担の重さなど、圧倒的な社会的生活条件の悪さにはほとんど言及されない。本書の「彼女」の場合であれば、幼少期の虐待や仕事の剥奪、介護負担など、彼女の生に常に介入し続ける父親の存在はマスコミ報道では知り得ないものであった。

本書は、このようなマスコミ報道から不可視化された側面とともに、第一事件での検証不足やマスコミが捨象した母親像を指摘することによって、一連の事件における「新たな」側面を浮かび上がらせている。彼女はいかに裁かれたのか、そして何が事件の真実なのか、今一度考え直させられる一冊。(arichan)








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