ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた――あなたがあなたらしくいられるための29問

著者:一橋大学社会学部佐藤文香ゼミ生一同

明石書店( 2019-07-04 )


『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた――あなたがあなたらしくいられるための29問』は、2017年から2018年の間に一橋大学社会学部の佐藤文香ゼミに所属していたわたしたちの課外活動の成果です。わたしたちが佐藤ゼミ生として過ごした2年間、ジェンダー研究を専攻していると友人や知人、家族に話すと、さまざまな疑問や不満、ときには怒りをぶつけられました。それはジェンダー研究にたいする関心の高まりをあらわしており、うれしく思えることでもありましたが、議論の結果、相手に納得してもらえず悔しい思いをしたり、険悪な雰囲気が漂ったり、かえって相手を委縮させてしまうことが多くありました。また議論をするなかで、ジェンダーについての関心が高まってはいるもののジェンダー研究の成果が社会に広まっていないと感じ、どうしたらもっと知ってもらうことができるのだろう、どう伝えたらいろんな人にわたしたちが学んだことが伝わるのだろうと悩み、何かできることがないかと考えるようになりました。そうして生まれたのがこの本です。

 この本に書かれている29問の問いやコラムは、すべてゼミ生が実際に投げかけられたものを扱っています。そのため、きっとみなさんもどこかで聞いたことがあったり、問われたことがあったりするのではないでしょうか。多くの人に手に取ってもらえるように、回答は「ジェンダーって聞いたこともない」という初心者向けの「ホップ」、ジェンダーの授業を履修した経験がありおよその知識は持っているという中級者向けの「ステップ」、ジェンダー研究の最新動向もおおむね理解している上級者向けの「ジャンプ」という3部構成にしました。また、コラムについてはゼミ生が自身の経験なども打ち明けながら考えを示しています。

 それぞれの問いにたいする回答は、たくさんの時間を費やし議論を重ねて作り上げたものですが、わたしたちはこれを唯一絶対の回答とは考えていません。また、集められた問いも、わたしたちの周囲の人々から得られたものなので、環境や年齢が変われば出てくる問いも異なるでしょう。わたしたちはみなさんに、ぜひこの本を手に取って、ジェンダーにかんする議論のきっかけにしてほしいと考えています。ジェンダー研究の成果にもとづいた考え方に触れながら、ご自身の経験や周りの人の言動を振り返って、今まで気にも留めてなかったようなことを改めて考え、ぜひいろいろな人と意見を交わしてください。さあ、わたしたちと一緒にジェンダーについて考え、議論してみませんか?