本稿は、パリテ・キャンペーン(初出 2020/04/06 )の記事の転載です。 ---------------------

「夫が在宅ワークになり、子どもも休校となったため、ストレスがたまり、夫が家族に身体的な暴力を振るうようになった。」

「夫がテレワークで自宅にいるようになり、これまで長時間労働ですれ違っていた夫が妻に家事一切を、押し付け、ことごとく文句を言うようになり、モラハラが起こってきた。」

「かねてから DV で母子で家を出ようと準備していたが、自営業の夫が仕事がなくずっと在宅し、家族を監視したりするようになったので、避難が難しくなり、絶望している」

これは3月30日にNPO法人全国女性シェルターネットが発表した「コロナウィルス対策状況下におけるDV/児童虐待防止に関する要望書」に挙げられた「すでに起きている状況」のほんの一部である。

テレワークの呼びかけや休校などコロナウィルス対策を行う際に、こういったDVや児童虐待増加の危険性を想定した上で、予め対応策を示すのが政治の役割ではないだろうか。

しかし、新型コロナウイルス感染症対策本部その他の「対応策の決定の場」にそういった視点はなかった。それは、そのメンバーに物理的に女性がいなかったからだ。政策決定の場に女性がいることは、女性や子どもの安全に深く関わっているのだ。

周藤由美子(フェミニストカウンセラー/性暴力禁止法をつくろうネットワーク共同代表)