2020年10月1日、菅首相は日本学術会議が推薦した会員候補者のうち6名を任命拒否しました。
この問題に関し、ジェンダー問題を研究する学会・研究会からも続々と声明が出されています。
国際ジェンダー学会
「日本学術会議第 25 期会員候補者 6 名の任命見送りに関する抗議声明」
国際ジェンダー学会理事会 会長 田口久美子 2020年10月6日
日本フェミニスト経済学会
「日本学術会議会員候補の任命拒否に対する声明」
日本フェミニスト経済学会2020-21年度幹事会・代表幹事:三山雅子 2020年10月6日
女性労働問題研究会
「日本学術会議」への学問の自由を侵害する政府の介入に抗議します
女性労働問題研究会常任委員会一同/同研究会代表・竹信三恵子 2020年10月6日
(以下抜粋)
日本学術会議の会員の任命に総理大臣が監督権を行使し、意のままにするということでは、
日本学術会議はもはや政府に対して提言し、勧告する独立した機関としての性格を失ってし
まいかねません。そのような事態を招く今回の措置は、日本学術会議の存続を危うくし、学問
の自由を脅かすことにつながるものです。学問は本来、批判的性格を持つものであり、それで
こそ独立した提言も成立することができると私たちは認識しています。
さらに当研究会は、菅政権の今回の介入が、政府が掲げてきた「女性活躍」の真の実現を
も妨げるものと考えます。
現場で働く女性と研究者が連携し、女性の人権にもとづいた働きやすい社会を作ることを目
指してきた当研究会は、さまざまな研究活動を通し、女性労働に対する軽視や蔑視を取り払う
ことなしに女性の活躍はないことを実証してきました。そうした活動は、先入観を排し、忖度なく
実態に即した研究ができる自由と、これをもとに率直に政府に政策提言していける条件の保
障なしではありえません。また、そのような研究と提言なしに女性が真に活躍できる政策作りは
困難です。
日本スポーツとジェンダー学会 日本学術会議新規会員の任命拒否に対するJSSGS理事会声明文
日本学術会議第25期新規会員任命に関する要望を支持する
日本スポーツとジェンダー学会理事会 2020年10月7日
日本女性学会
日本学術会議会員任命拒否に関する声明
日本女性学会第21期幹事会 2020年10月8日
(以下抜粋)
日本学術会議は、ジェンダー問題に関して2020年9月にも以下の三つの提言を発出するなど極めて活発に提言を行ってきました。
(1)提言「「同意の有無」を中核に置く刑法改正に向けて―性暴力に対する国際人権基準の反映―」
(2)提言「性的マイノリティの権利保障をめざして(Ⅱ)―トランスジェンダーの尊厳を保障するための法整備に向けてー」
(3)提言「社会と学術における男女共同参画の実現を目指して―2030年に向けた課題―」
このような提言は時に、政府の政策・制度の不備、不作為を厳しく批判するものでもありました。
しかしながら、現憲法の第23条において「学問の自由は、これを保障する」と学問の自由が保障されているのは、明治憲法下において政府により学問の自由が侵害された結果、無謀な戦争により多くの人々の犠牲をもたらしたことへの反省をもとにしたものです。この意味において、学問の自由とは、政府に対する一定の批判力を持つことにこそ、その意義があるとも言えるでしょう。
日本学術会議に対するこのたびの政府の人事介入は、政府による政策・制度の不備、不作為を指摘する活動を鈍らせ、戦後多くの努力のもとに培ってきた民主主義と人権尊重という価値観を否定する危険性をはらむものです。また、その結果として、社会的少数者の置かれた環境や社会的状況の改善が、一層困難となることも懸念されます。
日本ジェンダー学会
緊急声明:日本学術会議第25期新規会員任命に関する要望を支持する(2020年10月10日)
日本ジェンダー学会理事会 2020年10月10日
日本ジェンダー法学会
緊急声明:日本学術会議第25期新規会員任命に関する要望を支持する(2020年10月10日)
ジェンダー法学会理事会 2020年10月10日
「女性・戦争・人権」学会
日本学術会議会員候補の任命拒否に対する抗議声明
「女性・戦争・人権」学会 2020年10月11日