私は自分のパイを求めるだけであって人類を救いにきたわけじゃない (単行本)

著者:キム・ジナ

祥伝社( 2021/07/01 )


NYタイムズでも紹介されたフェミニズム空間「ウルフソーシャルクラブ」の運営者であり、コピーライターであり、カフェ経営者でもある著者のキム・ジナさんが、自身の経験を綴ったフェミニズム・エッセイです。
韓国では発売3カ月で5刷を記録。日本でも韓国語の原書を読んだ方々のSNSなどで話題になり、日本語訳版希望の声が上がっていた話題作です。
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広告業界の第一線で20、30代を送った著者は、40代で#MeToo運動の波をかぶってはじめて、これまでの自分にも疑問を持ちはじめます。

会社を辞めてフリーランスの道を選んだけれど、退社は本当に自分の意思だったのか?  『セックス・アンド・ザ・シティ』を地でいくバリキャリで、イケているつもりだったけれど、メディアに踊らされていただけなのでは?
結婚したけれど、女性ばかりにのしかかる家事労働。家父長制。女性は尊厳すらあきらめなくてはならないのか? 
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「ほんとうはパイのレシピを変えなきゃいけないんだけど」
本書にいただいた、上野千鶴子先生からの推薦の言葉です。

この言葉に、著者のキム・ジナさんが感想を伝えてくれました。
ご了解をいただきましたので、上野先生のご返信とともにご紹介します。

「先生のご著書『女ぎらい――ニッポンのミソジニ―』は、私を含め韓国の女性たちにとって重要な一冊であり、今もたくさんの人に読まれています。それに影響を受け、脱コルセット、非婚、女性政党の立ち上げなど、パイの量だけでなくレシピを変える様々な運動が韓国で活発に行なわれています」

上野先生のご返信。

「おっしゃるとおりです、パイの量と質(レシピ)の両方を変えなければなりませんね。 韓国フェミニズムの動きは、日本のわたしたちにとっても刺激的です」
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日本語版のために書きおろしてくれた特別寄稿「日本の読者の皆さんへ」も所収しています。そこに書かれた著者のこのメッセージにもしびれました。
「女性の連帯は、あなたと私のためのただ一つの解決策です。 世界中のどんな女性にも、ひとりで優雅に、安全に暮らせる方法などというものはないのですから」

この本を読んでくださった方から、次の感想もいただいています。
「全ての女性はもちろん、男性に読んでほしい」
「これから進学や社会人として一人立ちしていく、特に女性に一読しておいて欲しい作品」

パイの量と質(レシピ)を変えるために。
10年後、もっと暮らしやすい社会になっているために。
男性中心社会に対するリアルを描き、刺激と勇気と共感をくれるエッセイです。
編集をしながら、いろいろなことを振り返りました。大切なのは尊厳。
手にとっていただけるとうれしいです。
(祥伝社 栗原和子)

◎目次より -------------
・退職は私の選択だったのか?
・無報酬労働がイヤで
・女にお金を使おう
・私は私の世帯主
・『セックス・アンド・ザ・シティ』脱出
・チョイスから解放されよう
・女性の人脈づくり
・ウーマンソーシャルクラブが必要
・政治をしましょう 
・日本語版への特別寄稿 日本の読者の皆さんへ  …ほか
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◎キム・ジナさんは2014年4月のソウル市長選に「女性一人でも住みやすいソウル」を掲げて立候補。堂々4位に。
◎翻訳家のすんみさん、小山内園子さんの訳註も充実しています。