アサイラム・ピース
作成日:2019-06-16 21:32:38
異国の地で城の地下牢に囚われた薔薇のあざをもつ女。名前も顔も知らないがこの世界のどこかに存在する絶対の敵。いつ終わるとも知れぬ長い裁判。頭の中の機械。精神病療養所のテラスで人形劇めいた場面を演じる患者たち――孤独な生の断片をつらねたこの短篇集には、傷つき病んだ精神の痛切な叫びがうずまいている。自身の入院体験にもとづく表題作はじめ、出口なしの閉塞感と絶対の孤独、謎と不条理に満ちた、作家アンナ・カヴァンの誕生を告げる最初の傑作。
アンナ・カヴァン
1901-1968。フランス生まれのイギリス作家。世界中を転々としながら小説を書き始めるが、やがてヘロイン中毒に陥り、精神状態が悪化する。『アサイラム・ピース』(40)、『輝く草地』(58)などに収められた短篇で、カフカ的な不条理世界、特異なヴィジョンを描き、長篇『氷』(67)はSF界からも絶賛されるが、翌年に急死。他の邦訳に短篇集『ジュリアとバズーカ』、長篇『愛の渇き』がある。
(国書刊行会サイトより)
国書刊行会から出ていた作品が7月にちくま文庫から出ます。
最近翻訳が他社でも増えてきました。
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