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『ヒロシマとフクシマのあいだ——ジェンダーの視点から』 加納実紀代

2013.05.14 Tue

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.ヒロシマはなぜフクシマを止められなかったのか?

本書はこの疑問につき動かされて編まれた。広島の被爆者であるわたしにとって、「被爆国がなぜ原発大国になったのか?」という声は身にこたえた。被爆者の無為を責められているような気がした。急遽、原発導入期を中心に戦後史の再検証をはじめたが、そこで浮かび上がったのはジェンダーである。3・11以後、「原発もの」は奔流のように刊行されているが、そこに本書を付け加える意義があるとすれば、ジェンダーにこだわっていることだろう。

広島では、原爆投下から1950年代半ばまでを「空白の10年」という。その間、被爆の惨状が共有されず、何の援護策もとられなかったからだ。その要因は、占領下、原爆報道が禁止されていたためとされてきた。しかし情報はあった。核の威力と「明るい原子力時代」についての情報はふんだんにあった。しかもそれは女性たちの解放欲求を先取りするかたちでなされている。

原発導入にもジェンダーが働いている。「原子力の平和利用」の名のもとに原発が「国策」となったのは1954年から55年にかけてだが、その時期は一方で原水爆禁止運動が大きな盛り上がりをみせていた。それを担ったのは女性たちである。

そこから「生命を生み出す母親は、生命をまもることを願います」の母親運動が誕生する。原発による経済発展は男性、戦争被害の後始末と平和運動は女性。原発推進と原爆反対の同時進行を可能にしたのは、こうしたジェンダー分業ではなかったか。それは当時大衆化しつつあった近代家族の性役割に見合うものであった。

第2部として、反核運動と<母性>について80年代以来書いてきたものを収録した。(著者 加納実紀代)

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カテゴリー:著者・編集者からの紹介

タグ:憲法・平和 / / ジェンダー研究 / 原爆 / 加納実紀代 / 反戦運動

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