作家、絵本コーディネーターである、由美村嬉々さん(本名 木村美幸さん)と、絵本作家、画家である松本春野さんの絵本です。
昨年の初めに木村さんが、読売のオンラインニュースである記事を見つけ、「ぜひ絵本にしたい」と思ったことが、この絵本制作の始まりでした。
難病で視力を失った山﨑さんは、十年以上にわたり、地元の小学生に助けられながらバス通勤を続けました。ある女子児童に声をかけられたのが始まりで、その児童の卒業後もほかの子どもたちに「善意のバトン」はつながれてきた、という内容でした。
由美村さんは、子どもの視点でなく、目の見えないことの不安や人の温かさに触れた時の安堵感を表現したいと、あえて男性からの視点で物語を書きました。そして、和歌山に赴いて何度も取材を重ね、臨場感のある文に仕上げてくださいました。その文に、松本さんが、なんとも可愛らしく、ぬくもりのある絵を描いてくださり、出来上がった絵を見た時は、わたしも、なんとも言えない温かな気持ちに包まれました。
ひとりの女の子の行動が、ひとりの男性の通勤を、楽しいものに変えていきました。「あたりまえのこと」を子どもたちが始め、それがリレーされていったのです。
テレビやラジオでも話題になり、多くの人の心を動かした感動の実話を、絵本にさせていただきました。

◆書誌データ
書名 :バスが来ましたよ
著者 :由美村嬉々・文 松本春野・絵
頁数 :40頁
刊行日:2022/6/27
出版社:アリス館
定価 :1540円(税込)

バスが来ましたよ

著者:由美村 嬉々

アリス館( 2022/06/27 )