社会主義者、荒畑寒村(一八八七~一九八一)の人生を描く評伝。
寒村は、堺利彦・幸徳秋水らの日露非戦論に感銘を受けて一九歳にして社会主義運動に身を投じ、山川均・大杉栄など多くの思想家と交流しながら共に活動を展開した。その後、戦後まで続く長い人生を通して社会への対抗・批判をし続け、自らの思索を深めていった。波乱万丈の時代を駆け抜けた生き証人にして、敗北と挫折に満ちた社会主義思想家の一生を追う。
◎目次
はじめに
第一章 青春――社会主義者への道
1 義侠心と社会主義
2 社会主義者への出立
3 社会主義者への道
4 日本社会党と『平民新聞』
5 赤旗事件から大逆事件へ
6 大逆事件と寒村
7 管野すがの遺稿「死出の道艸」
8 社会主義の歌
第二章 朱夏――革命運動の途上にて
1 売文社と『近代思想』
2 大杉との共闘から訣別へ
3 寒村の文芸時代
4 ロシア革命への熱情とマルクス主義
5 日本社会主義同盟
6 日本共産党の創立
7 赤露行、革命ロシアへの密入国
8 第一次共産党事件と在外ビューロー活動
9 大杉栄・伊藤野枝の虐殺
10 第一次共産党の解体
第三章 白秋――革命戦線の模索と挫折
1 幻の前衛党
2 堺・山川・寒村の散策とユートピア感
3 労農派の誕生
4 無産政党と労農派の行方
5 帝国主義戦争の時代へ
6 人民戦線事件から雌伏八年
第四章 玄冬――社会主義への途上にて
1 敗戦のなかで
2 日本社会党と民主人民戦線の模索
3 社会党議員の寒村
4 社会主義政党結成へ向けて
5 社会主義労働党結成の挫折
6 老境へ至る寒村
7 寒村の六〇年安保闘争
8 新左翼のなかへ
9 反公害闘争への連帯
10 環堵蕭条うたた落寞たる人生の秋
参考文献
あとがき
荒畑寒村略年譜
人名・事項索引
◎書誌情報
書名:荒畑寒村――反逆の文字とこしえに(ミネルヴァ日本評伝選 通巻235冊目)
著者:川村邦光
体裁:四六判上製カバー 448頁
価格:4000円+税
発行日:2022年8月10日
発行元:ミネルヴァ書房
ISBN:978-4-623-09450-9
2022.11.07 Mon
カテゴリー:著者・編集者からの紹介
タグ:本