2011.11.07 Mon
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください. 2008年、『母が重くてたまらない――墓守娘の嘆き』(春秋社)という本を刊行しました。
読者のあいだで、「私、じつは墓守娘です」「あなたも?」という“カミングアウト”が続出、ひそかな連帯感のひろがりとともに、ベストセラーとなりました。
「母が重くてたまらない」と言ってのけるのは、とても勇気がいります。けれど、著者の信田さよ子さんは、さらに背中を押すのです。「もう一歩、さらに先に行ってみよう」と。
続編『さよなら、お母さん――墓守娘が決断する時』は、愛情の押売り地獄からどうにもこうにも逃れられないひとに贈る実践バイブルです。
嘆きの日々から脱して、新しい人生を歩むにはどうすればいいか。
その道のりを明らかにし、気持の上での決別から決定的な断絶まで、さまざまな卒業のかたちを紹介します。
加えて、母であることから卒業したい読者のためにも、ヒントをもりこんでいるのが、本書のすごいところ。
「子どもを生んだからといって死ぬまで母である必要はない」という一文には、「親でも子どもでも、本気でふみだそうとするなら、その先に道はかならずある」という、著者の希望がこめられているようです。
東日本大震災のあと、多くのメディアが家族こそ素晴らしいというメッセージを伝えました。
けれど、その陰で、ますますNOと言えなくなってしまった墓守娘たちがいることは、あまり知られていません。
人生にとってほんとうに大切なものは何か。それを考えるべき今こそ、家族を再検討するのに適したタイミングはありません。
この本が、奇しくも3・11後に誕生したことの意味を、編集者としてかみしめています。 (編集者 篠田里香)
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