
著者の原点、初版刊行より10年を経て待望の増補版!
本書は、『ギフテッド』『グレイスレス』が芥川賞候補にもなった鈴木涼美さんのデビュー作。初版は修士論文を大幅に加筆修正するかたちで2013年に刊行されました。初版刊行時には上野千鶴子さんをはじめ多くのかたがとりあげてくださいました。あれから10年の時を経て、その間の変化について書いた文章を増補して満を持しての再刊です。
「性の商品化」をめぐる議論のなかで、ときにさまざまに語られる「AV女優」たち。しかし、著者は自身の体験を踏まえながら、そこで展開されている言説に違和と疑問もち続けてきました。この違和は、社会学を学んでいた著者を彼女たちが生きる現場へと向かわせます――。そこで見つけたのは饒舌に自らをかたる女性たちの姿でした。「なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか」……。この疑問を抱えながら、生きているだけで商品となるうる身体を抱えて、どれくらい嘆き、諦め、戦い、楽しむのか、という問題と向き合っている女性たちと深く対峙していきます。そこで見えてきたのは既存の議論では語られ切れていなかったこと、そしてそうした議論に違和を感じつづけてきた自身へのひとつの答えでした。
「AV女優について語ることの誘惑は、しばしば現実のAV女優を無視して概念としてのAV女優だけを肥大させてしまう性質がある。しかし当然のことながら、撮影現場に現れるAV女優たちは生身の存在であり、善かろうが悪かろうが生きて働いている。それがどれだけ特殊で、人の心をざわつかせるような仕事であっても、生身の彼女たちの生活以上に、彼女たちの存在の社会的な意味づけが重要ということはない。新法をめぐって、あるいはまったく別の側面から、どのような議論が巻き起ころうともそのことを私は強調し続けたい。」(本文より)
はざまで揺れ動く生身の存在であるAV女優を独自の視点から深くまなざし、画一的な議論からこぼれおちていたものを丹念に拾い上げた著者の原点。10年を経たいまもそのみずみずしいまなざしは鮮烈さを失っていません。ぜひ多くの人にあらためて読んでいただきたい1冊です。
◆書誌データ
書名 :「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか 増補新版
著者 :鈴木涼美
頁数 :320頁
刊行日:2023/4/26
出版社:青土社
定価 :2090円(税込)
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