
平成の30年間(1989~2019)は、昭和と比べて登山の間口が広がり、登山に親しむ機会が増えた時代です。女性が妊娠、出産、子育てなど人生のステージを経て、心身共にダイナミックな変化をするなかで、登山を継続していくための選択の幅が広がったのが平成の時代といえるでしょう。
本書では世界的なクライマーや山ガール、山小屋で働く女性など、さまざまな形で「山」にかかわる女性たちが登場します。
彼女たちは決して特別な人たちではありません。人生の中で山と出会い、山に惹かれ、山に生きた女性たちなのです。
例えば、エベレストに女性初登頂した田部井淳子さん。登頂したのは昭和50年。平成期は、「その後」になります。
女性初のエベレスト登頂というタイトルを背負い、世界中の登山家と交流し、そこで得た出会いや知恵を我々に授けてくれた田部井さんはこう語りました。
「私は好きなことをやって一生を過ごしてきた。エベレスト登頂後、私の人生が変わったと言う人もいる。確かに周りの目が気になった時期もあった。けれどあるときから自分の思うとおりにやろうと思えるようになった。そうでなければ私の人生ではなくなってしまう。けれどそれでも、周囲の声が気になったりしちゃうんだよね」
そんな田部井さんが20~30代の女性を山に誘いたいと、「MJリンク」を始めたのは平成21年のこと。子どもを産む性である女性にこそ山の魅力を味わってほしいと、田部井さんは言いました。彼女たちが山の魅力を実感すれば、必ず次世代にそれをつないでくれると信じていたのです。
平成28年、田部井さんはその生涯を閉じました。山に登り、山に誘い、山に関わり続け、最後まで山を想い続けた人生でした。
本書の1章では、田部井淳子さんをはじめ、抜きんでた足跡を残した5人を取り上げています。登山やクライミングなど各ジャンルにおいて世界レベルで活躍した女性たちの姿が綴られます。
2章はテーマ別の切り口で、平成期の女性の登山について書かれています。山岳ガイドや山小屋で働く女性など、家業を継ぐケースだけでなく、自分自身の手で選び取った職業として、山を舞台にした女性も大勢います。これも昭和以前なら、いまより困難だったことです。
平成の時代、山を駆けた女性たちの姿から、令和につながる生き方を見つけていただければ幸いです。
◆書誌データ
書名 :彼女たちの山 平成の時代、女性はどう山を登ったか
著者 :柏澄子
頁数 :256頁
刊行日:2023/3/14
出版社:山と溪谷社
定価 :1870円(税込)
慰安婦
貧困・福祉
DV・性暴力・ハラスメント
非婚・結婚・離婚
セクシュアリティ
くらし・生活
身体・健康
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女性政策
憲法・平和
高齢社会
子育て・教育
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LGBT
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