言葉と世相から「考える」ための雑誌『現代用語の基礎知識 2024』

 インターネットが社会インフラと化した昨今、検索すればどんなことでも調べられるものの、アルゴリズムによって「この人に沿わない」と判断された情報は、知らないうちに遠くへと離れていきます。

 創刊76年を迎えた本書は、その年の言葉と世相を記録し、まとめた一冊です。フィルターの外側へ踏み出し、自分から分断されてしまった情報を取り戻せるよう、一つひとつの言葉を丁寧に拾ってつくりました。

 性やジェンダー、日本政治などのジャンルごとに、各専門家が今年の世相をあらわす注目語や知っておきたい基本となる言葉を解説。イスラエルとハマスの大規模戦闘といった世界情勢や、卵の値上げのような生活のすぐそばにあるテーマまで、2023年の押さえておきたい出来事を網羅しています。

 さらに巻頭では「歴史を今につなげ つながり、つたえる」と題し、女性自衛官の性被害や岸田首相の「女性ならでは」発言を取り上げました。特集ではLGBT理解増進法や入管法など、今どんな出来事が起きていてどんな問題を抱えているか知ることができる内容になっており、ジャンルだけでなく、気になるニュースからも読み進められるつくりです。

 新たに言葉を知り、自分で「考える」。本書がそのためのきっかけとなることを願っています。ぜひお手に取ってお読みいただけたら光栄です。


目次
【巻頭グラビア】
差別の先のジェノサイド
写真・文=佐藤慧/安田菜津紀[認定NPO法人Dialogue for People]

【巻頭キーパーソン】
栗山英樹/ラーズ・ヌートバー/安住紳一郎/西加奈子/リナ・サワヤマ/市川沙央/板垣李光人/Vaundyほか

【特集】
歴史を今につなげ つながり、つたえる

【現代用語ジャーナル】
難民・移民へのまなざし
LGBT理解増進法から読み解く、いま必要なこと
SNSに流されない つながりとコミュニケーション変遷史
マイナンバー問題総点検

【ニュースのおさらい】
「どうした」「そもそも」「どうなる」の3ステップで、気になるニュースを理解する!

【KEY NUMBER 数字で読む2023】
【やくみつる世相フラッシュ】
【2023トレンドカルチャー】
【新語・流行語大賞全記録】
【巻末:カタカナ・外来語・略語】

◆書誌データ
書名:現代用語の基礎知識 2024
著者:水無田気流・森山至貴・高井ゆと里・周司あきら・神谷悠一・安田菜津紀・片山夏子・望月衣塑子・小泉悠・立山良司ほか
頁数:352頁
刊行日:2023/11/4
出版社:自由国民社
定価:1760円(税込)

現代用語の基礎知識 2024

著者:小泉 悠

自由国民社( 2023/11/04 )