『もうひとつの声で』に続くC・ギリガンの名著『JOINING the RESISTANCE』の本邦初訳 2023年9月20日刊

日本に,もはや家父長制は存在しない?
とんでもない。それが見えにくくなっているのが問題なのだ!

家父長制の解体を目指し、ケアの倫理はフェミニストの倫理であると同時に人間の倫理である事をここに高らかに謳う。

ケアの倫理の金字塔『もうひとつの声で』の刊行から時を経て、ギリガンがたどりなおす抵抗の軌跡。
「女性は家にいてケアすべし」と性差別論者を擁護しているかのごとく批判されたギリガン理論の誤解を解き、その半生の語りとそこから紡ぎだされるケアの倫理をめぐるアカデミックエッセイ。



●目次
第1章 未来を見るために過去を振り返る―『もうひとつの声で』再考
第1節 正義対ケア論争の先にある議論に向けて
第2節 なぜケアの倫理は攻撃にさらされているのか―家父長制への通過儀礼
第3節 鍵としての少女と女の声―家父長制への抵抗

第2章 わたしたちはどこから来て、どこへ向かうのか
ある寓話
第1節 わたしたちはどこから来たのか 
第2節 わたしたちはどこまで来たのか
第3節 わたしたちはどこへ向かうのか 
第4節 なぜわたしたちは、いまもなおジェンダーを研究する必要があるのか?

第3章 自由連想と大審問官―ある精神分析のドラマ
第1幕 『ヒステリー研究』と女たちの知
第2幕 トラウマの隠蔽
第3幕 女たちの抵抗、男たちとの共闘
第4幕 大審門官の問いかけ―愛と自由を引き受けるために

第4章 抵抗を識別する
第1節 美術館で
第2節 もし女たちが…
第3節 抵抗
第4節 完璧な少女たちと反主流派たち
第5節 少女を教育する女/女を教育する少女

第5章 不正義への抵抗―フェミニストのケアの倫理
第1節 ケアという人間の倫理―少年たちの秘密
第2節 ケアの倫理が目覚めるとき―民主主義を解放するために



訳者
●小西 真理子(こにし まりこ)
大阪大学大学院人文学研究科准教授。専門は臨床哲学、倫理学。著書に『共依存の倫理――必要とされることを渇望する人びと』(単著、晃洋書房、2017年)、『狂気な倫理――「愚か」で「不可解」で「無価値」とされる生の肯定』(共編著、晃洋書房、2022年)、『歪な愛の倫理ーー〈第三者〉は暴力関係にどのように応じるべきか(仮題)』(単著、筑摩書房、2023年[近刊])など。


●田中 壮泰(たなか もりやす)
立命館大学文学部授業担当講師、東海大学文化社会学部非常勤講師。専門はポーランド文学、イディッシュ文学、比較文学。主な論文に「イディッシュ語で書かれたウクライナ文学――ドヴィド・ベルゲルソンとポグロム以後の経験」(『スラヴ学論集』25号、2022年)など。著書に『異貌の同時代 : 人類・学・の外へ』(分担執筆、以文社、2017年)、共訳書にヤヌシュ・コルチャク『ゲットー日記』(みすず書房、2023年[近刊])など。


●小田切 建太郎(おたぎり けんたろう)
熊本学園大学社会福祉学部准教授。専門は哲学・倫理学。著書にHorizont als Grenze: Zur Kritik der Phänomenalität des Seins beim frühen Heidegger(単著、Traugott Bautz, 2014)、『中動態・地平・竈ーーハイデガーの存在の思索をめぐる精神史的現象学』 (単著、法政大学出版局、2018年)、『ハイデガー事典』(分担執筆、昭和堂、2021年)、『狂気な倫理――「愚か」で「不可解」で「無価値」とされる生の肯定』(分担執筆、晃洋書房、2022年)など。


抵抗への参加―フェミニストのケアの倫理―

著者:キャロル・ギリガン

晃洋書房( 2023/09/10 )