性暴力被害者のためのワンストップセンターで被害者支援する8つの団体が、運営に必要な費用の公的支援が十分ではないため運営が厳しいなど、国に対応を求める要望書を提出しました。
被害者が受けられる専門支援への公費負担の範囲等は、全国でまちまちな状態で、結果として性暴力の被害者がどこに住んでいるか、どのセンターに行ったかによって受けられる支援が同じではない状態となっています。
要望書では、以下の3つを要望しています。
1.相談センターの運営にかかる十分な費用を国の予算で確保し、10割補助するなどしてください。同じ都道府県にセンターが 2 つ以上ある場合にも同様に、です。
2.医療、心理、法律相談等の専門支援の公費負担の内容・範囲が全国であまりに違いがあります。この実態を調査し、また、国が必要な費用すべてを補助して、全国どこでも、同じ内容の十分な支援を被害者が受けられるようにし、被害地や都道府県民限定などの制限を撤廃してください。これは、全体のレベルを現在高い水準で行っているセンターのところまで引き上げるということを要望するものです。
3.これまでは、国が補助対象としていなかった、病院での医療従事者等の支援行為にも、補助金を出し、病院(病院拠点型も連携型の連携病院でも)での支援を支えてください。
(説明)
1. 相談センターの体制を作って維持するには、人口が少ない自治体であっても、一定程度の人件費や家賃など運営費が必要です。しかしながら、これへの助成割合は国 2 分の 1 であり、あまり自治体が予算をつけないところでは、十分な人員を雇用できない、職員に対し正当な給与が払えない等の状態にあります。
2. 次に、医療や心理、法律相談などの専門的な支援の費用が公費負担で無料となるその範囲・額などは、センターによって、実に様々です。例えば、法律相談や心理支援の公費負担は一切していないところもあり、公費ではなく運営団体の予算で独自に支援しているセンターもあります。また、医療機関での支援についても「初診時一回のみ」等、回数の上限があるところとないところがあります。貴局によって令和2年 12 月 25 日に「夜間休日対応のコールセンター設置に伴う相談対応の整備及び性犯罪・性暴力被害者に対する急性期の医療費支援について(通知)」が出されましたが、今なお、その都道府県民等に限るとしているところもあります。
また、公費負担対象は「配偶者間性暴力は除く」としているセンターも少なくありません。しかし刑法改正によって、配偶者間の性暴力も犯罪と明確化されたところであり、除外すべきではありません。妊娠中絶の費用にいたっては、「ワンストップセンターで緊急避妊をしても妊娠した場合のみ」という条件のセンターが多数あります。警察公費での負担を前提に、被害届を出さないケースは公費負担も適用されないというセンターもあります。性暴力被害者の多くは警察には相談しない実情があり、被害届の提出の有無に限らず、支援を受けられる体制が必要です。心理支援についても被害後 6 か月以内、1 年以内、2 年以内などの制限があるところと期間制限はないところがあり、1 回まで、3 回までから、16 回、22 回までのところまであります。これらのばらつきは、国の助成割合が 3 分の 1 であることや、警察公費の方を利用しているセンターでは、警察の基準や犯罪被害者支援制度の影響、そしてその都道府県で 2 つ目のセンターであるところには援助が薄いことなどが原因と考えられます。しかし、どのセンターに相談したかによって、性暴力被害者が受けられる支援にこれほど差があってよいわけは、ありません。
3. 病院拠点型のセンターの拠点病院や、連携型センターに連携し協力する病院では、性暴力被害者に対応する人件費等、特別な負担がかかっています。これまでは、これらは専ら病院側の自主的な負担で行われてきました。病院の自主負担に頼り続けるのであれば、病院拠点型センターが増えることは望めず、現在あるセンターでも活動縮小をせざるを得なくなっていくことや、その他の病院の協力も得られにくくなることが予想されます。病院拠点型のセンターでは、急性期の支援等、性暴力の診断や証拠採取、児童性虐待の発見などにとりわけ先駆的な役割を果たしてきており、これを後退させることは日本の性暴力被害者支援の水準を低下させることにほかなりません。

NHK NEWS WEBより
<関連報道>
◯生活ニュースコモンズ
性暴力被害者のワンストップ支援センターが存続の危機 運営費の全額国庫負担などを要望
https://s-newscommons.com/article/4216
◯NHK
関西 NEWS WEB
“運営厳しい” 性暴力被害者の支援団体 国に要望書提出
09月07日 07時51分
ニュース映像はこちら
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20240907/2000087438.html?fbclid=IwY2xjawFImfpleHRuA2FlbQIxMQABHdnCK_5vxLNGnZUsp0I2wF-6EJ1oemFmYBiR6h_0Dm9PwD3-DufEThzU8w_aem_FkGTKZ7ORppSOiDZUUKKzg
◯NHK NEWS WEB
性暴力被害者支援団体 相談増え運営厳しい 予算確保を国に要望
2024年9月7日 6時38分
要望書のPDFは以下からダウンロードできます。↓

要望書PDFより

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