
<てるてる Reading Circleとは?>
2012 年に女性学(「女性の女性のための女性による学問」)の第一人者である故井上輝子先生が和光大学を定年退職後「木曜研究会 」をスタート。2014年度に「GF読書会」と名称変更し、WANサイトの女性学講座コーナーに半期ごとの活動報告を掲載。2021年に井上先生が逝去された後は「てるてるReading Circle」として、オンラインで活動中。メンバーはさまざまなバックグラウンドの 30 ~ 70 代の女性たち。現在新メンバーを募集中。ご連絡はこちらまで:teruterurc@gmail.com
<書籍紹介>
『私は一三歳だった』の裏表紙に、「12歳と13歳。1945年8月15日を中国で迎えた人びとに、この1歳違いは何を意味したか。国家の都合に翻弄される戦後の女性の歴史を、自分史にかさねて検証する。」とある。きっかけは、1,993年中国残留の日本人婦人が、永住帰国を求めて成田に座り込んだ報道である。1948年8月当時、13歳以上が「残留婦人」、12歳以下なら「残留孤児」だというのだ。あの日、私は13歳だった。新しいクラスメートたちは12歳だった(樋口さんは、病気療養で休学し一年下に編入していた)。私は残留婦人、友だちは一歳違いで残留孤児。50年の歳月を経て、戦争がどんな人々にどんな傷あとを残しているか、はっきりしてきた。中国残留婦人問題もその一つである。
「母のこと」: 樋口さんの母への思いは底なしで、時に自分は母の人生を生まれ変わって生きているように思うことさえあるという。本質的にはネアカで口の達者なお調子者なのに、妻や母の立場では固く身をよろっていたが、戦中戦後は生き生きと自由に羽ばたいた。母は食料不足が厳しくなるころ、近所の農家に教わりながら、自分の裁量で長期の計画を立てて作物を実らし、働いた分確実に得られると言う手ごたえのある人生を楽しげにやってのけ、自慢はしたが恩に着せることはなかった。また、樋口さんの病気療養中には、毎日ヤギの乳を求め、選挙では「女だから女に投票する」ことを実行し、困りごとの相談にも、「こういう時困るのはいつも女だから」と面倒をみて、捨て猫などの飼い主を探す世話をしていた。
「新聞部事始め」: 敗戦から四年目の春、樋口さんはお茶の水女子大学附属高校に入学した。課外活動で忘れがたい思い出は、この学校の新聞クラブ創設に立ち会い初代の編集長に就任したことである。第一号紙が出たのは秋の運動会の日で、運動会での最後の挨拶をした。これが大勢の前で公式に話す最初だったかもしれない。高校生が手探りで始めた新聞づくりで、皆で企画をたて、取材を分担するおもしろさに取りつかれてきた。都立日比谷高校新聞部を訪問したり、お茶の水付属高校に進学希望者の多い中学を訪ねて母校のイメージをさぐったり。電灯がついてからも小さな部室で記事を書いた。負担にちがいないがみずから背負う重荷の快さも十分に感じ取っていた。もしかしたらジャーナリズムの世界で生きて行くことを決定づけたのは、このころの経験だったかもしれない。この時期に、それぞれが意見をのべ、企画をたて手順を決めて取り組む経験は、何事によらず社会で生きる大きな力になったと思う。そんなふんだんな自由が、当時の高校にはあった。樋口さんの当時の論説記事と、コラム「雑音」欄・創設の弁も紹介されている。
その他、「性教育の自主ゼミ」「演劇への熱中」「学校開放区」「飼い犬の戦後」「米袋持参の修学旅行」「戦後初期の大学受験」「試験会場は二五番教室」「大学の新聞部」「「これからどう生きていくのか」「女である自分自身の目で」等々の多彩な記述がある。
<読書会を終えて>
和光大学に樋口恵子さんが講演にきていただけるので、各自で本を選び読みました。終戦後の混乱期、学制改革の事を話し合いました。個人的には、社会の教師の時間がないので先に進むと言って第一次大戦、第二次大戦の所を飛ばして学ばなかったことを思い出しました。
◆書誌データ
書名 :私は13歳だった ー少女の戦後史
著者 :樋口恵子
頁数 :226頁
刊行日:1996/6/11
出版社:筑摩書房
定価 :1,210円(税込)
慰安婦
貧困・福祉
DV・性暴力・ハラスメント
非婚・結婚・離婚
セクシュアリティ
くらし・生活
身体・健康
リプロ・ヘルス
脱原発
女性政策
憲法・平和
高齢社会
子育て・教育
性表現
LGBT
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