ベトナム人技能実習生のグエットさんは、来日前から「妊娠したら帰国」と繰り返し言われていたため、妊娠を誰にも相談できないまま2024年2月、孤立出産に追い込まれました。残念ながら死産でした。
大量出血と失神を繰り返す中、約8時間後に帰宅した知人に発見され病院へ運ばれましたが、診察時に警察へ通報され、「遺体を適切に扱わなかった」として死体遺棄罪で起訴されました。
彼女は一貫して「子どもを捨てたのではなく、どうすればいいかも分からなかった」と無罪を主張してきましたが、2025年3月7日、福岡地方裁判所は有罪判決(懲役1年6か月・執行猶予3年)を言い渡し、同年11月4日、福岡高等裁判所もこれを支持しました。現在、最高裁判所へ上告しています。

なぜ、この判決に対して私たちが声を求めるのか
この事件の背景には、個人の判断や行動だけでは説明できない構造的な問題があります。
孤立出産とは、妊娠を誰にも明かせず、相談にも医療にもつながれないまま、一人で命をかけて出産を迎える状況です。孤立出産は母子の生命に重大なリスクがあり、とくに死産の場合、身体的ダメージに加え深刻な精神的ショックが伴い極限状態となり、冷静な判断を求めることは現実的ではありません。
それにもかかわらず、医療につながれなかった女性だけが、出産直後の行動について非難され、刑事罰の対象となっています。医療機関で死産した場合には母親が遺体を扱うことは求められませんが、孤立出産した女性には「即座に社会的に相当とされる対応」を求められています。これは法の下の平等に反し、合理性を欠いた不平等な扱いです。

この事件はリプロダクティブ・ジャスティスの問題です
リプロダクティブ・ジャスティスは、1)産まない権利、2)産む権利、3)産んだ後に安全に暮らす権利の3つが、社会的・経済的・制度的条件のもとで等しく保障されるべきだという考え方です。
グエットさんは、「女性である」ことに加え、外国人である、技能実習生である、低賃金労働者である、日本語や制度へのアクセスが限られている、在留資格が不安定である、といった複数の不平等の中に置かれ、本来保障されるべきリプロダクティブ・ライツを行使できず、孤立出産に追い込まれました。
この構造は、外国人女性に限った問題ではありません。日本人女性においても、貧困、DV、家族からの孤立、障害、社会的スティグマなどが複数の困難が重なることで支援から離れ、孤立出産に追い込まれるケースは繰り返されています。
これは、ひとりの女性を罰する問題ではありません。これは、「支援や医療につながれなかった女性を責める社会でいいのか」を問いかける事件です。孤立出産に追い込まれた女性に必要なのは、刑罰ではなく、支援・ケア・保護です。

署名・意見書・寄付のご協力をお願いします
グエットさんの無罪を勝ち取るため、以下の方法でご協力をお願いいたします。
1. 署名(Change.org)
https://www.change.org/NguyetSanWaMuzai

2. 意見書提出(PDF・メール・郵送可)
書式・手順はコムスタカ公式サイトに掲載しています。
https://kumustaka.org/TITP/2025.11_TITP.html

3. 寄付による支援
裁判費用、最高裁のある東京への旅費屋宿泊日や行動費等に充てられます。
→ 寄付サイト:https://x.gd/pEkei

これはグエットさん一人の問題ではありません

この事件は、「誰もが安心して妊娠・出産について選択できる社会なのか」、「妊娠・出産・死産を経験する女性を支える社会なのか」、「それとも管理し、罰する社会なのか」を私達全員に問いかけている事件です。
グエットさんの勇気ある上告が、未来の女性たちの生きやすさにつながるように、どうか力を貸してください。

グエットさんの裁判の詳しい内容はChange.orgまたはコムスタカ公式サイトをご覧ください。
Change.org: https://www.change.org/NguyetSanWaMuzai
コムスタカ公式サイト:https://kumustaka.org/TITP/Nguyet_TITP.html