2025年度WAN基金助成金をいただいておりました「女+フェスティバル」2026は、3月8日の国際女性デーに京都にて無事開催させていただきました。
300名近くの方にご参加いただき大盛況のうちに終了させていただきました。以前も告知記事を掲載させていただきましたが、「女+フェスティバル」」は1986~95年の10年間にわたって京都で開催されてきた「女のフェスティバル」を、2026年の今、交差する立場を生きる女や性的マイノリティに開かれた集まりにするため名称を変更し復活された催しでした。

写真は「女+フェスティバル」Facebookページより

ウトロ農楽隊の素晴らしい演奏で幕を開けた午前の部では、「なぜ今『女のフェスティバル』なのか?」として韓国語翻訳家の斎藤真理子さんと実行委員栄井香代子さんとの対談、斎藤さんを交えてのフェス実行委員のトークが行われました。
ウトロ農楽隊とは、ウトロの土地を守るための闘いの中で生まれた、女性たちを主とした楽隊です。今回、オープニングにふさわしい、演奏者の方々の笑顔も印象的な感動的で力強い演奏と、ウトロの歴史を共に考えるきっかけとなるお話をいただきました。
斎藤さんと栄井さんのお話では、かつての京都での女性たちの運動のあり方や斎藤さん栄井さんそれぞれのご活動、韓国の若い世代も主体となって盛り上がる社会運動のあり方などについて、現在の日本の状況とつながるものとして語られました。実行委員名とのトークではそれぞれの関心から斎藤さんへのご質問を行い、翻訳された作品の内容やその社会的意味、日本のフェミニズム運動のあり方や未来についてなど様々な角度からの話題が出されました。
午後は、女性をとりまくさまざまな問題であるテーマごとの分科会が開催されました。
分科会1「部落フェミニズムから広がる地平」(コーディネーター:アナーカ部落フェミニストの会)では、天皇制、戸籍制度、「家」思想、優生思想といった多くの差別を生み出す概念やその議論がフェミニズムにおいて十分に行われてこなかった問題を再確認し、部落差別問題の歴史、官製「寝た子を起こすな」論的な国の法制度における差別的側面、人びとの意識のなかにある差別やマイクロアグレッション、さまざまな交差する構造、フェミニズムの掲げてきたシスターフッドの限界とその改善に向けた方向性、多くの差別問題につながる戸籍制度を改めて考える場となりました。 多くの論点がつめこまれたそれぞれの話ではありましたがそれぞれつながりを持つものであり、参加者との交流もあわせ、「出自、民族、人種、国籍、階級、セクシュアリティなどの違いがあるなかで、私たちは、既存の制度や規範への抵抗のあり方をどのように議論し、共闘していけるのか」についての開かれた議論が行われました。
分科会2「個人的なことは政治的:みんなで話そう!多文化共生」(コーディネーター:姜喜代、姜ムニ)は「様々なルーツと文化的背景をもつ「女+」たちが自由に語り合う分科会」として開催され、地域社会におけるヘイトスピーチへの行政の対応の不十分さなどの多文化共生の困難が存在する状況、同時に、「日本人と友達になりたい」という声をきかっけとした日本語学校の学習者の方々と日本人学生との相互交流といった共生につながっていく試みなど、多様なルーツを持つ方々が女性として、個人として、どう向き合っていくか、そこにある社会構造の問題点を考えるには、と小グループに分かれて意見交流もなされるなか共有が行われました。
分科会3「自分を大切に 自分を守るために 言いたいことを言おう」(コーディネーター:周藤由美子(ウィメンズカウンセリング京都))は、フェミニズムにおいても大切なメッセージである、「自分の心や体は自分のもの」「自分の心や体を大切にすること」「自分の心や体を守るにはどうすればいいか」について、また、トランスジェンダーの方々が置かれている状況について、「法律の要件を満たすために手術を選択せざるを得なかった当事者も存在」してきた現実などもふまえ、などをともに考える会でした。また、「自分の気持ちや考えを率直にその場に合った適切な方法で表現」し、嫌な依頼などを「断る」実践のワークショップ、自分を大切にするためのヨガを行う時間も設けられました。
分科会4「なめたらアカンで!女の労働~何が評価され、何が排除されるのか」(コーディネーター:屋嘉比ふみ子(ペイ・エクイティ・コンサルティング・オフィス))では、「女性の多い職場の賃金の安さ」など女性が賃金や待遇で差別されてきた歴史をふりかえり、女性の尊厳ある働き方のための、「仕事を可視化」し同一労働同一賃金を実現するための理論と実践が紹介されました。能力主義の時代における職務評価の重要性、ともに声を上げ企業や社会に働きかける女性ユニオンなどの労働運動の持つ意味、話題提供者である屋嘉比さんが取り組まれてきた京ガス闘争の活動についてを共有するなかで、現在の女性労働をとりまく問題点を共に考え、働く女性たちがエンパワメントを感じられる分科会となりました。
各分科会、それぞれに過去より続く、または新たに考えるべき課題が議論され、答えの出ない問題やさらなる課題は残されたものの、不可視化されてきた歴史や社会の側面を掘り下げた有意義な議論がなされたと思います。
ホール前のスペース「ホワイエ」では、協賛団体の方々の販売や展示ブース、チラシなどがたくさん並び、以前のお祭り感にはおよばないですがフェスらしい場になったと思います。日本女性学研究会も『女性学年報』の販売やパンフレット配布などを行いました。また、SOGIEシニアネット主催の「まったりスペース」には安心できるフェミな空間として多くの方にお越しいただきました。
今回のフェスティバルでは「UDトーク」を取り入れ、シンポジウムは各分科会の内容は文字化、翻訳され、今後の改善点は残るものの、多くの参加者が利用され、参加のハードルが下がったという声をいただきました。また、セーファースペースポリシーをしっかり設定することで、差別的・攻撃的なやりとりが起こりにくくするよう心がけられました。来年以降の開催でも引き続きこういった取り組みは続けていきたいと思います。
「女+」としても、名称に「女」をつけ続けることの意味への問い直し、まだまださまざまな社会の軸について触れることについて不十分なところ、さまざまに反省が必要なことも多々あったとは思います。そのあたりも意識しつつ模索しながら、過去の時代にリスペクトや連続性を持ち、さまざまな課題をよりよくしていくために話し合い、関係をつくっていくきっかけとして、少しでも明るい未来につなげていくため、そして来年の開催に向け、アップデートを続けていきたいと思います。実行委員の一人として、関わられたすべての皆様に心より感謝いたします。
【関連ページ】
リブとフェミニズムと女性学が、ともに在ったころ やぎみね
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https://wan.or.jp/article/show/6240









