
読む人すべてをエンパワーする知的興奮の書!
大反響を呼んだ『他者の靴を履く』から5年――、ブレイディみかこさんの渾身の人文書『それはどこでも起こり得る 壊れゆく世界への抵抗』が刊行されました。
本作は、いま世界的に問題となっている、極中、クラス・シーリング、テクノ大衆、リマイグレーション(移民の強制送還)などの言葉から、社会の深層を読み解いた一冊です。今、西洋で起きていることはすぐそこにある日本の姿かもしれない――という強い危機感から生まれた革新的な本です。
例えば、「極中(エクストリーム・センター)の時代」という章では、イデオロギーを捨て、権力維持を目的とする「極中」の政治勢力の不気味さに斬り込みます。イギリスのブレア政権以降、イギリス労働党では左派切りが次々と行われ、“陽気で”スマートな選挙CMがあふれかえります。彼らが重視するのは理念ではなく「権力奪取」であり、「効率のよさ」。イデオロギーを捨て去り、「現状最適化」ばかりを目指す政治がもたらす“道徳の空白地帯”に鋭い警鐘を鳴らします。
あるいは、フェミニズムの金句「個人的なことは政治的なこと」を再定義する章では、ミラン・クンデラの小説を糸口に、私的言動がすべて政治的正しさで裁かれる監視社会の息苦しさを指摘し、政治の論理からこぼれ落ちる「人間臭さ」を考察します。
1975年のアイスランドの「女性ストライキ」の歴史的成功は、異なる立場のグループが納得する「女性の休日」という言葉への言い換えという、アナキズム的な合意形成の最良の例です。他者を支配する力(power over)ではなく、「個の力」(power of)を取り戻すこと――そして他者と共有する力(power with)へと至る革新的な思想を打ち出しています。
個を圧殺するさまざまな言語的バイアス、見えない壁、社会構造にたいして、いかに「抵抗」していくか? 読む人すべてをエンパワーする、最高の知的興奮の書がここにはあります。ぜひお手にとってご覧ください。
書名 :『それはどこでも起こり得る 壊れゆく世界への抵抗』
著者 :ブレイディみかこ
頁数 :272頁
刊行日:2026/07/15
出版社:文藝春秋
定価 :1760円(税込)









