2014.04.23 Wed
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.阪神大震災と地下鉄サリン事件の年、1995年に生まれた子どもたちは、東日本大震災のあった2011年3月に中学卒業をむかえました。
本書は、1995年生まれのありふれた15歳を主人公に、その中学3年の1年間を描いた小説です。
茨城県に暮らす市子はある日、クラスメイトの偉生から告白されます。「日本一の鉱物学者」が将来の夢という風変わりな偉生の好意に戸惑いながらも、次第に親しみを感じていく市子。そうした矢先、偉生は、なぜか文化祭の展示で「原発」について調べようと提案します。2010年の出来事とともに物語は進み、やがて2011年3月11日をむかえます。
あの日以来、なにかがガラリとかわってしまった、そんな断絶のイメージが3.11にはあります。多くの人の命と、安心できる暮らし。失われたものはあまりに多いようです。
この作品は、2010年のもうもどらない、ありふれた日々を描くことで、あの日からもたしかに今日が続いていること、そしてわたしたちが今日を生きていく大切さを伝えるものになっていると思います。
著者の濱野京子さんは、2010年に坪田譲治文学賞を受賞し、幅広い作風と、社会に向き合った作品で注目される作家の一人です。
語ることが難しい、今を生きることの「希望」に正面から取り組んだ本作、手にとっていただけたなら幸いです。
(編集者 佐川)
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