2014.06.03 Tue
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.上野千鶴子さんから帯に推薦文を頂きました。感謝しています。
こんな女、たしかにいる。人の苦しみを吸い込んで、白く燃える女。
ご多忙の中「桔梗(ききょう)」をお読みになり、書いて下さったこの推薦文を受け取った時、私は「カチリ」という「符合の音」を聞きました。
「こんな女」を書くことが、片山かなみの長年の願いだったのです。
「桔梗」が「こんな女」の名前です。男性の自我の投影を受けて存在する女。
心理学者のカール・グスタフ・ユングは、こういう女を「アニマ女性」と名付けました。
アニマ女性という女性が存在する。自我というものをほとんど持たないため、男性のアニマの投影をどのようなものでも引き受けやすいので、外見的には男性によく「もてる」ことになる(河合隼雄著『無意識の構造』中公新書より)。
アニマとは、男性の心の中の女性像です。
こういう定義も書かれています。
(アニマ女性は)不思議に年をとることがない。多くの男性と関係をもちながら、外見的な処女性をさえ保持している人もある。このため、彼女はますます男性の投影をかきたてるのである。
ここまで読んで、「私だ」と思ったあなた。あるいは「彼女だ」と、知っている誰かを考えたあなた。
ぜひ、この小説を読んで下さい。
物語中に「一条」の父と「桔梗」の祖父の、大陸での戦争体験が具体的な地名を列挙して登場します。
この部分は、作家の故田中小実昌氏から伺った話が出所です。
私は1987年、23歳のとき、銀座でアルバイトホステスをしていました。
その店に編集者(たしか中央公論社の人)と一緒にお見えになった「コミさん」と私は「しばらくいっしょにあそんだ」のです。
新宿の小さな酒場に連れていってもらいました。
「コミさん」という愛称で親しまれていた田中小実昌氏は「聖者オーラ」を発している方でした。アルコールに弱い私はグレープフルーツジュースを飲み、マイペースでお酒を飲むコミさんといろいろな話をしました。
当時から作家志願だった私に、
「早くから作家になっちゃったらつまんないよ、若いうちは遊びなさい」と言って下さいました。
小さな飲み屋さんで出てきた、ゆたんぽみたいに大きなオムレツを一緒に食べたのが忘れえぬ思い出です。 (著者)
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