2015.07.24 Fri
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.かつて、「ヨーロッパにひとり旅するのが楽しみで……」と話した相手からまっさきに返ってきたのは、「さびしくない?」「怖くない?」「ひとりで平気?」だった。そのあとに「子どもは?」「仕事は?」と続く。あんまり「?」が多いと、なんだかイケナイことをしてきたような気分にさえなった――第1章の冒頭で著者の寺田和代さんはこう書いている。若くない女性がひとりで外国を旅することのハードルがいかに高かったか(いや、まだまだ高い?)を感じさせるエピソードだ。
海外ひとり旅といえば「若者、自分探し、人生のリセット」だった定番イメージは、今は昔。本書は、30代半ばからの20年でヨーロッパの街々を28回(本書執筆直後に29回めを敢行!)ひとり旅した著者の経験とノウハウがぎっしり詰まった、いままでにない旅の本。「行ってみたいけど、ひとりで平気?」と二の足を踏む同世代女子にエールを送りたい気持ちもあってこの本を書いたという。その言葉どおり、章を追うごとにおとな女子ひとり旅をはばむハードルがひとつひとつ取り除かれていく。普段より少し遠くまで散歩する感覚で、人と出会い、「映画みたい」な風景や出来事にふるえ、人生最高の黒ビールの味に胸を踊らせる。そんな旅先でのいちいちは読んでいるだけでわくわくする。
とはいえ、著者は決して旅の“鉄人”ではない。トラブルに見舞われるとパニクって心臓がばくばくしたり、涙ぐんだり、ギャーーーッと叫んだり、体力だって平均以下(らしい)。「若さ、経験、語学力、お金――ないない尽くしでも大丈夫」という励ましが説得力をもつのは、そんな彼女が身をもって「大丈夫」を実証してきたからだろう。
プランニングから予約までネットを使って1週間の旅の全費用20万円以下を実現するワザは、ビギナーにはちょっと難しいかもしれないけれど、おすすめサイトや検索の仕方、予約時のチェックポイントまで手とり足とり教えてくれるから心強いし、なにより「この予算でこんなステキなホテルに泊まれるの?!」(写真入り)と目がキラキラしてしまう。女の子だもん。
巻末には、中高年女性のニーズに着目した英会話集も収録。「通じればいい」ではなく、「おとな女子=マダム」らしい表現と言葉を選んでいる。挨拶ひとつ、言葉づかいひとつで「大切にされる」度が格段に上がる経験を何度もしてきた著者ならではこだわりだ。
さて、30回めの旅はどこだろう。その地で「この本を読んでここに来ました」という日本人女性ときっと出会う、とひそかに確信している。勇気のでる一冊。ぜひご一読ください。(編集者 武井真弓)
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