エッセイ

views

2436

「何で好きなのと聞かれても…」  安藤

2010.09.07 Tue

好きなら勝手にすればいいと思うけどさ、でもBLを読む人って理解できない。何が好きなの?何求めてるの?

ってなことを、よくよく言われます。ひと言で言うと、正直私自身分かっていません。「癒し」だとか「萌え」だとか、今までにも説明してみようとはしました。でもどこか嘘くさくなっちゃう。研究本なんかも、山ほど読んでみたもののやっぱりわからない。困り果てて、男女の恋愛ものを読むのと何が違うの?と問い返してみると、

恋愛小説を読むのとは違うはずでしょ。恋愛小説は「自分もこういう恋がしたいな」と思うために読むものだ!萌えとか曖昧な言葉で片付けないで説明してみなさい(じゃないと認めない)。

と、こうきます。そんなこと、言われてもなあ……。「曖昧な言葉で片付けるな」とはまた、手厳しい。

自分の好きなものについて「何故好きなのか」、明瞭に、首尾一貫して、聞く人すべてを納得させられるように語れる人って、果たしていかほどいるのでしょうか。私には難しいです……なにせ「好き」って感情そのものが曖昧で説明できないもので。ある程度納得するというのはあるんだろうけれど、でもそれは、聞く側があらかじめ「聞き入れる態度」をとっていないと成り立たないんですよね。こと、こういう主観的なことに関しては。たとえばスプラッタ映画とか、苦手な人が多いとされているものの愛好家なんかは苦労するのではないでしょうか。どんなに熱心に語っても、よくて「ふ~ん」で済まされてしまいますからね……(笑)悪ければ奇人扱いです、語れば語るほど。そんな経験はないでしょうか?先述のとおり、BLもとかく、「何で好きなの!?(私は嫌いなのに!)」と時に半ばヒステリックに尋ねられる事がしばしばありますが、そんな方にはどんなに言葉を尽くしても大抵分かっていただけません。ま、そんなもんです。

ちょっと逸れました。そんななので、腐女子の心理やいかに?とか言われると「面倒くせーなぁ…」と思ってしまうのが本音だったりしますが(笑)結局人それぞれなんじゃないでしょうか。何を思って生きてるかなんて。なので恋愛小説だって、「こんな恋がしたいな☆」と思って読んでる人だけじゃないと思うのです。自分は恋人作りに興味ないけど、人のゴシップは大好きです!!っていう人だっていますし。

逆に私はBLを読みながら、「こんな恋ならしたいわッ!」と思うことがあります(笑)「男とか女とか関係ねーよ……俺はただお前が好きなんだ!」とかさ、「どーでもいい、お前がそばにいるから、それだけでいい」とかさ!言われてみたいし言ってみたいわーっ!って思ったりする。(まあちょっと…いやかなり恥ずかしいけど笑)あ、これで「BLが好きな理由」ってことになりませんか。だめですか?

だって、(経験上)男女レンアイなんてしょっぱいんですもの。「俺男同士とかありえないと思うけど腐女子と話すのは面白いと思うんだー」とかアホ丸出しのナンパ吹っかけてくるような男としか出会いなんぞないんかい!(悲しくも実話)と思うと虚しい現実から逃げ出したくもなりますし、「最終的にはそういう関係(どういう関係?!)になりたいとも思うけど、まずは君のことがよく知りたいと思うよ」などという口説き文句のどこに魅力があるのだといえましょうか…私にはわかんないわ…(凹むけど実話)

男女ものや現実の恋愛とやらでたまにイヤになるのは、「そういうつもりはありませんよ純粋ですよ」と見せかけながら、「最終的にはセックスしたい」が隠しようもなくちらちら見えたりする、その瞬間なのです。そうじゃなければNL(男女カップル)でももちろん好きなのは沢山あるんですよ?

BLだってセックスしてるじゃないのと言われたらそうなんだけど……。でも、BLだとヘテロものでたびたび感じるあの「嫌な感じ」がないものの方が多いんです、私にとっては。上手く説明できないけれど。(っていうようなこと言うと、すぐ「自分勝手だ!」って怒られるのが辛いんだけど……)ついでにGL(ガールズラブ/女の子同士の恋愛もの)も、ちょろっと読んだことくらいしかないけど、やっぱり男女の恋愛と比べると好きな方です。

そういう経緯があるのでジェンダースタディをやれば、自分がBLを読む理由がわかるかと思ったけれど、結局のところ「それもあるけど、それだけじゃないっぽい」ということがわかったのみで、真相は闇の中です。でも好きなの。だから勝手にするわ!といいたいところだけど……スプラッタ映画を愛好するのの比ではなく(多分)押し寄せるバッシングの波のために、おちおちマンガも読んでいられない状況なのです。「楽しみ」を求めてBLを読んでいるのに、同時に「BLを読んでいるという事実」に疲れてしまうのです。腐女子バッシングを見てると、それが直接自分に当てはまるものでなくても、気分が悪くなる。たまたま落ち込んだりしてるときなんかだと、「いっそ腐女子やめたい」とか思ったりもする。やめられないんですけどね(笑)

何でBLを読むのか、何で好きなのか、何を求めているのか。いくら考えても、もやもやとしていてはっきりとは語れません。でもつまり、そういうものなんじゃないでしょうか。と思いたくなるのですが、まだまだ私の考えが足らんのでしょうか。難しいなあ。……。………。

えーい、もういいや。一人で悶々とするより、みんなで考えれば文殊の知恵。

というわけで、シンポジウムを心待ちにする今日この頃、です。

―――――――――――――――――――――――――――――――

シンポジウム「やおい/BL(研究)の今を熱く語る」

日 時:2010年9月11日(土)13:30〜17:30(開場13:00)

会 場:大阪市立大学文化交流センターホール

カテゴリー:やおい/BLの魅力 / シリーズ

タグ:ボーイズラブ / やおい

ミニコミ図書館
寄付をする
女性ジャーナル
博士論文データベース
> WANサイトについて
WANについて
会員募集中
> 会員限定プレゼント
WAN基金
当サイトの対応ブラウザについて
年会費を払う
女性のアクションを動画にして配信しよう

アフェリエイトの窓

  • ルイーザ・メイ・オールコットの日記: もうひとつの若草物語 / 著者:ルイーザ メ...

  • ルイザ: 若草物語を生きたひと / 著者:ノーマ ジョンストン / 2007/03/01

  • ディキンスン詩集 (海外詩文庫) / 著者:エミリー ディキンスン / 1993/06/01

amazon
楽天