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『ベルヴィル・トーキョー』監督インタビュー

2013.03.27 Wed

妊娠時期をシングルで過ごす女性を描いたフランス映画『ベルヴィル・トーキョー』

サブ4

この映画は、妊娠時期をシングルで過ごす妻と、父親になることを受け入れられない夫のすれ違いを描いた、切ないラブストーリー。実は本作、監督の実体験を元に作られた作品である。3/30の劇場公開に先立ちエリーズ・ジラール監督が来日。自身の作品について語ってもらった。

(インタビュアー:VALERIA)

-「妊娠時期をシングルで過ごす妻とその夫」なぜこのテーマを選んだのでしょうか?

サブ2監督: 私も同じ経験をしたからです。調べてみると、今までに妊娠時期をシングルで過ごす女性を描いた映画がほとんどないということに気がつきました。また多くの映画では妊婦は、だらしない服をきて滑稽な歩き方で、ヒステリックに振舞うなど、戯画的に描かれがちです。一般的にいわれる妊娠=人生最良の時という図式を壊し、妊婦を一人の普通の女性として、威厳を持って試練に立ち向かう女性として描きたかったのです。

また、妊娠して旦那に捨てられたということを恥だと思って口に出さない女性が多いことにも気がつきました。それを恥じるということは、男に捨てられたことに対する「罪悪感」があるからではないでしょうか。その「罪悪感」というものは明らかに男性社会が作ったものです。一人で子供を育てるということだけでも辛いのに、このような自己検閲をすることで、二重の不幸を背負うことになります。私も同じ体験をしていますが、少しも恥だと感じませんし、積極的に口に出していくべきだと思い、この映画を撮りました。

-10年間で20人以上もの女性監督を輩出しているといわれるフランス映画界では、今までの「女性映画」の枠を超えた作品が次々と作られています。『ベルヴィル・トーキョー』のヒロインはいわゆる一般的な女性とは違う選択をしているようにおもいますが、このようなヒロイン像を登場させるのは、あなたの作家的立場なのでしょうか。

 

サブ1監督: 人生とは、涙も笑いも同時に存在するものです。この映画を観た観客が共感できるところもあれば、疑ったりするところもあるでしょう。そういった人生の複雑さ、白黒はっきりと色分けできないグレーゾーンをこの映画で示したかったのです。

-日本の社会におけるシングルマザーの受け入れについてアドバイスをいただけますか?

 

サブ5

監督: 私たちの世代は人生に妥協しません。女性は経済的自立を勝ち取ることができ、男なしの人生という選択肢も増えています。特にフランスではシングルマザーが増加しており、今回の来日で、日本の女性たちの意識の高さを感じました。大切なのは一人一人が自分の心の声に耳を傾け、同性同士でよく語り合うことでしょう。

「ベルヴィル・トーキョー」メイン画像ベルヴィル・トーキョー』は3月30日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラムにて「フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ」のうちの一作として6週間限定上映。

 

「フレンチ・フィーメイル・ニューウェーヴ」についてはこちら

 

エリーズ・ジラール監督 ÉLISE GIRARD

エリーズ・ジラール監督1974年フランス生まれ。ソルボンヌ・パリ第4大学のメディア技術・言語学科エクリチュール・脚本専攻の修士号を取得しているエリーズ。彼女は修士論文のテーマにアニエス・ヴァルダの『5時から7時までのクレオ』(1961年)を選んでいる。卒業後、フロラン演劇教室、ジャック・ガルファン演劇スタジオの女優養成講座を受講しながら『哀しみのスパイ』(1994年、エリック・ロシャン)、『ヴァン・ゴッホ』(1991年、モーリス・ピアラ)等に端役で出演。1997年、ジャン=マルク・コース、ジャン=マリ・ロバンと出会い、彼らが経営する〈シネマ・アクション〉系列の映画館で広報を担当する。カルチェラタンの名画座系映画館に親しんでいくなかで、それらをテーマにした中編ドキュメンタリー2本『孤独な勇者たち《シネマ・アクションの冒険》 SEULES SONT LES INDOMPTÉS, L’AVENTURE DES CINÉMAS ACTION』(2003年)、『ロジェ・ディアマンティスあるいは本物の人生 ROGER DIAMANTIS OU LA VRAIE VIE』(2005年)(注)を監督。

本作『ベルヴィル・トーキョー』は初の長編作品である。

(注)ロジェ・ディアマンティスはカルチェラタンの名画座サンタンドレ・デ・ザールの経営者。大島渚監督の『愛のコリーダ』がロングランされた映画館。

カテゴリー:新作映画評・エッセイ

タグ:非婚・結婚・離婚 / シングルマザー / 夫婦 / 妊娠 / フランス映画 / エリーズ・ジラール