2013.04.25 Thu
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フランス女性はなぜ結婚しないで子どもを産むのか。この、本のタイトルのなかには、近代家族に関わる意味深長な真理がある。結婚、家族、少子化、そしておひとりさま。わたしたちは家族を「する」ことを選ばなくなった、と考えてみることはできないだろうか。親と子。この永遠の関係性を成り立たせている背景は、日本では結婚制度ということになる。では、結婚という制度は何を規制している制度であるか。上野さんをよく知っている読者の方であれば、もう答えはお見通しであろう。上野さんがおひとりさまである、所以である。日本の少子化の原因は、晩婚化とそれにともなう晩産化があげられる。日本では、出生率は1.39(2010年)なのに対して、フランスでは、出生率2.01(2010年)。子どもを産む女性が増えている。が、しかし、フランスでも晩婚化・晩産化の傾向が進んでいる。では、なにが違うのか。日本の対策に欠けていて、フランスの対策にあるものはなんだったのか。
日本の女性が、子どもを産んで育てていきたいと思えるような社会にするために、変わっていくことが望まれる「家族」のあり方を、私たちが社会連帯の意識としてもち、合意が増えていけば、数年後、出生率も上昇しているのかもしれない。少子化対策は、もちろん、数だけの問題ではない。本質的に安心して子どもを産み育てられる社会とは、誰にとっても生きやすい社会であると考えるのは、浅はかだろうか。
社会は、みんなで支え合い、その支え合いを構成しているのは、一人一人である。現行の制度やオブセッションを超えたところで、一人というユニットで考えることを選択する。「これまで」を「これから」に変える可能性を、誰もがもっている。
堀 紀美子
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